「官民ITS構想・ロードマップ2019」 自動運転やMaaSの社会実装に向けて項目を改定
2019/6/12(水)
政府は6月7日、「官民ITS※構想・ロードマップ2019(案)」をまとめた。今回は自動運転などに関連する項目が改定され、2020年の実用化に向けての方針が示された。
日本はこれまで世界最高の技術レベルかつ最大の輸出産業である自動車業界を有するとともに、国によるITS関連のインフラについても、世界最先端レベルを維持してきたといえる。しかしながら、ITS を巡る大きなイノベーションが世界中で進展する中、これまでの相対的な優位性を継続することは容易ではない。そこで、日本として大きなイノベーションの流れに対し、「世界一の ITS を構築・維持し、日本・世界に貢献する」ことを目標として官民 ITS 構想・ロードマップが2014年に策定され、以来ITS・⾃動運転を巡る最近の情勢変化等を踏まえ、毎年改定されている。
今回の改定は主に3点で、⾃動運転の⽬標年次である2020年の実⽤化に向けた詳細な取組の明確化、⾃動運転の社会実装に向けた持続可能なビジネスモデルの確⽴に向けた検討、急速に進展するMaaSに⾃動運転を取り込んだ将来像の提⽰である。
2020年の自動運転実用化に向けては、制度整備⼤綱に基づいた法整備の取組が⼤きく進展しており、それに加えて高速道路での自動運転(高速道路内で一定速度以下での車線維持、車間維持、速度調整が可能)や、実証実験の枠組みを利用した自動運転移動サービスなど、2020年の具体的な実現イメージが提唱された。
そして自動運転が実験段階から実装段階という新たなフェーズに突入していくことから、持続可能なビジネスとして確立させることが必須であるとしている。そのために、自動運転による運転サービスのみならず、他のサービス(観光や食など)との連携による収益性の確保や、廃線跡など専⽤空間の活⽤による安全性確保と投資の抑制、公共交通機関維持のための⾃治体負担を⾃動運転による⼈件費削減により軽減などの施策で持続可能なビジネスモデルを構築し、全国展開を目指す。
さらに、既に少しずつではあるが日本でも取り組まれ始めたMaaSを取り上げ、今後はMaaSを前提としたまちづくりを行い、全ての地域・全ての⼈が新たなモビリティサービスを利⽤できるという将来の日本版MaaS像の展望を示した。
※Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム