日本総研「ラストマイル自動移動サービス」の地域実装支援でラボ設立
2020/11/5(木)
株式会社日本総合研究所(以下、日本総研)は、ラストマイル自動移動サービスの早期実装を目指す事業者の支援などを目的に、「RAPOCラボ(Risk Assessment Process Of Community-Vehicle Lab)」を11月4日に設立した。
このラボでは、実際に地域へサービスを実装する民間事業者の視点から、サービスの運営・維持や、自動運転の走行環境の安全性確保に関して検討し、ラストマイル自動移動サービスの実装プロセスの定型化を目指す。
RAPOCラボは、ラストマイル自動移動サービスを全国の各地域で運営する際に必要なノウハウについて、さまざまな業種の民間事業者が知見を持ち寄り、検討するために設立。活動期間は11月4日から来年3月31日までを予定している。このラボでは、実際に地域へサービスを実装する民間事業者の視点から、サービスの運営・維持や、自動運転の走行環境の安全性確保に関して検討し、ラストマイル自動移動サービスの実装プロセスの定型化を目指す。
■「地域住民の積極参加」をモデル化
RAPOCでは、サービスの運営・維持、そして自動運転の走行環境の安全性確保の2つをテーマに取り上げ、活動を推進する。(1)ラストマイルに特化した移動サービスの運営・維持
日本総研は、これまで実装に成功した多くの事例では「地域住民が主体的なサービス運営・維持を行っている」点を指摘。また、「自治体が都市計画・交通計画などでの制度的な位置づけを行い、時には財政面で支援をすること」も地域でのサービス運営・維持には重要だとしている。そこで、RAPOCラボではラストマイルに特化した移動サービスの成功事例についてケーススタディを実施したうえで、地域における合意形成手法のモデル化等を行う。地域住民が起点となって公的な支援まで取り付けた事例を基に、地域側と民間事業者が緊密に連携できる枠組みと活動のあり方や進め方のモデル化を行い、さらに運行経路や形態を策定する手法についても検討する。
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(2)自動運転の走行環境の安全性確保
自動運転車両を公道で走行させるには、地域の交通当局の許可が必要だ。しかし、走行環境の安全性を評価する明確なフレームワークが存在しないために、各地域における安全対策は、交通当局の判断を仰ぎながら、それぞれ一から検討している状況だ。そのため安全対策を効率的に策定できず、他地域の知見の導入や他地域への展開も難しい状況に陥っているという。このような課題を背景に、RAPOCラボは運行経路上の道路の特性について、構造ごとの単位で分析することで、リスク存在箇所を特定し評価できるフレームワークづくりを実施する。このフレームワークを活用すれば、自動運転車両の走行や道路上の安全対策に対して、運行事業者と地域関係者の合意形成にも大いに役立つと考えられる。また、構造ごとにリスクを明確化するため、特定の地域でしか使えない情報ではなく汎用的なリスク評価が可能になる。
今後、日本総研では、RAPOCラボで作成するフレームワークをベースに、安全性を効率的に評価するWebシステムの開発を検討している。また、このWebシステムを活用した、全国各地のラストマイル自動移動サービスの実装を支援する運営団体の設立を目指す。
■ラボの参加メンバー
・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社・株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
・沖電気工業株式会社
・神姫バス株式会社
・大和自動車交通株式会社
・復建調査設計株式会社
・BOLDLY株式会社
・株式会社みちのりホールディングス
・みなと観光バス株式会社
ほか
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