特集:MaaSベンチャーが拓く 交通サービスの未来(1/3)--タクシーをもっと便利に 乗車前の「瞬間マッチング」 プラットフォーム「nearMe.」
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2019/6/14(金)
今、日本では、タクシー配車やコストシェア型のライドシェアなど、さまざまな新サービスが次々と登場し、盛り上がりを見せている。交通手段の多様化が進む中で、この潮流を牽引するのが、柔軟な発想と高い開発技術力、そして、アイデアを実際の事業展開へと結びつける実行力を持つMaaSベンチャーだ。「身近な移動課題の解決」や「既存の公共交通の補完」、そして「助け合い」などを軸に、より快適な生活を実現したいという地域住民など利用者の思いに寄り添い、人間味ある企業理念やビジョンを掲げながらも、また同時に、新規参入ならではの「今までにない斬新で」、「痒い所に手が届く」、「知れば使いたくなる」ような、ユニークな新サービスを生み出している。地域や自治体、他企業と連携しながら、試行錯誤が続く「移動」についての課題解決に対し、独自のアイデアで挑戦するMaaSベンチャー各社の取り組みを紹介する。1回目は、タクシー乗車前の「瞬間マッチング」プラットフォーム「nearMe.」について。
終電後のタクシー乗り場にできる長蛇の列。「同じ方向に向かう他の乗客と相乗りができればいいのに……」。こう考えたことのある方は少なくないはず。しかし、現在の日本では法律の規制があり、タクシー会社による乗り合いサービスの提供は難しい状況だ。そのような中、この課題に新たなアプローチでサービス展開している企業がある。同じ方向に行きたい人同士を乗車前にマッチングするタクシー相乗りアプリ「nearMe.」を開発・運営する株式会社NearMeだ。代表取締役社長の髙原幸一郎氏に、事業のコンセプトや「nearMe.」開発の経緯、今後の展開について話を伺った。「瞬間マッチング」プラットフォームで地域の瞬間的なニーズをマッチング
NearMeは楽天の海外子会社CEOというキャリアを持つ高原氏が2018年に起業。同年6月にタクシー相乗りアプリ「nearMe.」をリリースし、現在は東京や埼玉、神奈川の一部エリアでサービス提供している。NearMeは地域が抱える社会課題を、テクノロジーを活用したプラットフォームにより解決し、地域活性化を進めることをミッションに掲げている。「私たちは瞬間的な地域のニーズをリアルタイムにマッチングする仕組み、これを『瞬間的マッチング』と呼んでいおり、リアルタイムの位置情報を活用した瞬間マッチングプラットフォームを作りたいと考えています。例えば、旅先で地元の人オススメの物を探したい時にはインターネットで検索しますよね。それを検索しなくても簡単に見つけられるような、地域の情報や良いモノ・コトを発見しやすくする仕組み、地域がより住みやすくなるような仕組みを作っていきたいです。地域活性化を考えた時に、住む人も観光で訪れる人も共通に抱えているのが移動の問題だということから、まずはこれを解決したいと思い、今回の『タクシーの相乗り』というビジネスモデルの発想に至りました」(髙原氏)
地域活性化を目指し、まずは「移動」の課題解決に着手
髙原氏が最初に目をつけたのは、タクシー待ちの行列の解消だった。「私の自宅は郊外で最寄り駅は22時半には最終バスが終わり、それを逃すとタクシーで帰るしかありません。雨だと行列になり、雪だともっと長くなる。タクシーが来ても1台に1人しか乗らないから一向に行列は縮まない。駅まで来られたのに、最後、家までたどり着けないという原体験から、ラストワンマイルの非効率を解決したいと思いました。これは渋谷等の拠点となる駅でも同様ですし、あと人身事故や災害時に移動手段がない場合もそうです。高齢者が免許返納後にどうするのかもまだ解決策がないですし、観光地の2次交通や空港の混雑等、最後の移動の課題は色々あるなと。これらを解決することで、地域が住みやすくなり、その地域に行きやすくなると思いました」(髙原氏)
現在ラストワンマイルの移動で中心を担っているタクシーだが、その実車率は約40%と言われている。またタクシーの多くは一人利用のため、例えば5人乗り車両の場合、スペース的には現状の1人にもうプラス3人を乗せられるポテンシャルがあると言える。しかし、現在は法律の規制により乗り合い行為は禁止されている。さらに、ドライバーの高齢化の影響もあり、タクシー業界はドライバー不足の状態だ。
「Uberみたいなライドシェアではなく、技術を使った最適化、タクシーのシェアで解決をしたいと考えました。でも今、タクシー事業者が相乗りをするのは乗り合い行為となり禁止されています。それなら、乗る前に相手を見つければいいということで、『nearMe.』ではマッチングに特化することにしました」(髙原氏)
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