自動運転時代の新材料を探る 三井化学の考えるモビリティ社会の素材の可能性
2018/3/13(火)
――rimOnOさんと取り組みの材料について詳しく内容を聞かせてください。
まずは、rimOnOさんの「ふわふわ外装ボディ」というコンセプトに適応したウレタン材を検討しています。「ふわふわ外装ボディ」は、対歩行者の衝突安全というアイデアなので、極度に柔らかくする必要はなく、剛性を確保した硬めのウレタンを使います。そして、外観を良い状態に保つため無黄変のウレタンフォームを開発してきました。普通のウレタンフォームは1カ月経つと黄色くなりますが、開発したものは黄色くなりにくいです。それだけではなく、高弾性、高反発の特徴を持っています。こういう新しい材料をrimOnOさんに提案して、一緒に進めるという状況です。車室内に関しては、ウレタンゲルを使ったシートになっています。rimOnOさんのクルマはコンパクトなので、狭い空間内ではあまり分厚いウレタンが使えません。また、柔らかすぎるものは座り心地が悪いので、そのバランスをうまく調整しながら、いろいろと試作して、ウレタンゲルを使用した薄いシートを作り上げました。
フロントウィンドウには、曇り止めコートを搭載しています。rimOnOさんのクルマは、できるだけ安く、軽く、シンプルにしたいというコンセプトもあるので、エアコンを付けない場合、ガラスの内側が曇るというリスクがあります。それを抑えるために、親水性のあるコート材を提案して、エアコンでエアを出さなくても曇らないというフロントガラスを実現しています。開発がうまくいけば、他のクルマにも横展開したいと思います。
軽量化を図るために、金属材の代替品としてCF複合アーレンという材料を検討しています。ボディの構造材はまだ鉄を使っているので、代わりに硬くて軽量な材料を使ってみようというアイデアです。この材料は耐熱性があるので、高温での塗装もできるようになっています。また、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の開発も行っています。金属と樹脂を接合するには、一般的にネジを使います。しかし、CFRPはネジなしで接合することが可能です。ミクロで金属側に樹脂をめり込ませる技術で、少し曲がっている金属面にも接合することができます。これが実用化できれば、構造材の樹脂化が実現する可能性はあると思います。ネジでくっつけるよりも冗長性が少なくなるので、構造としての剛性は上がります。このような技術をrimOnOさんのクルマの構造に組み込んだりして、さまざまな可能性を模索しています。構造材の樹脂化は、われわれ樹脂メーカーにとって悲願です。
床板には、パロニアという材料を検討しています。木材だと腐ってしまうので、木材の代わりになる軽い板にしようと考えています。繊維質で耐久性が高く、普通の木材よりも軽量で信頼性が高いです。
あとはドアウィンドーのシール材は、黒色は合わないと言われていますので、着色してみることを提案しています。
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