MaaS推進の道標となるか? 国交省「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」案を公開
2020/3/6(金)
では、データ連携を行う際に必要な共通理解とはどのようにして得られるのか。そのための土台作り、あるいは交通整理を行うのがこのガイドラインだ。前述の通り、その方策はSociety5.0リファレンスアーキテクチャ(下図)を参照し、MaaSと関連が深いスマートシティ構築におけるデータ連携の方向性にならっている。MaaS関連データを「戦略・政策」、「ルール」、「組織」、「ビジネス」、「機能」、「データ」、「データ連携」、「アセット」の各レイヤー(層)に分類・整理し、それぞれで留意すべき事項が以降にまとめられている。また、これらの事項は、「各地域等で提供されるMaaS毎に」留意するべきだとしている。
この項目では、「MaaS提供にあたっての目的」を定めることの重要性と、その際の留意事項について述べている。要旨は大きく以下の4点に分かれる
(1)ビジョンと目的を明確化し、サービスの方向性を定める 前提として、MaaSを提供する各地域で、MaaSの関係者を見極め、目指すビジョンと目的を明確にして、サービスの方向性を定めることが重要だ。
(2)持続的な運営と関係者間の調整 MaaSは、提供する地域の移動そのものを担うサービスであるため、持続的かつ継続的な運営が要求される。また、関係者間で必要に応じて方向性の修正などの協議を行い、認識を合わせながら進めていくことも重要だ。
(3)プライバシー保護・セキュリティ対策など 関係者間でデータをやり取りする場合は、必要な個人情報・プライバシー保護対策やセキュリティ対策等についてもあらかじめ十分な検討を行い、利用者を含む関係者間で合意していく必要がある。
(4)さまざまな利用シーン、利用者の想定 MaaSはさまざまな利用シーン、利用者が想定できる。そのため、高齢者や障がい者、訪日外国人などを含めたダイバーシティに留意し、さまざまな利用者のニーズに合わせたサービスとすることが望ましい。
ここでは、「データ連携を行う際のルール」について述べている。
データ連携を円滑に行うためには、前述した関係者間で設定したビジョン・目的を共有した前提で、規約の設定やルールの取り決めをあらかじめ行う必要がある。また、ルールの範囲は、提供するMaaSに応じて判断することが求められる。
(1)協調的データと競争的データ ガイドライン案では、MaaSに関連するデータについては、「協調的データ」と「競争的データ」があるとし、それぞれの定義を説明している。
・協調的データ
MaaS関連データのうち、各MaaSで設定された最低限のルール等に基づいて、各MaaSプラットフォームを利用する全てのデータ利用者が利用可能なものとして提供されたデータ
・競争的データ
MaaS関連データのうち、データの提供者との契約等により個別に共有されるものとして、各MaaSプラットフォームに提供されたデータ
特に、MaaS構築に不可欠な基盤データは、協調的データ領域としてMaaSプラットフォームへの提供に努める必要がある。 公共交通関連で具体例を挙げると、駅の構内図、出入り口、エレベーター、移動の所要時間、その他駅構内に関連する情報が基盤データに該当する。また、同様の例で、車両情報に該当するもの。つまり、事業者が保有する車両の型式・種類、編成数、乗車人数に関連する情報。これらは基盤データには該当しないものの、可能な限り協調的データとしてMaaSプラットフォームに提供されることが望ましいとしている。
それ以外のデータについては、各社が協調・競争領域の判断を行うとしている。
(2)移動関連データの取り扱い 移動関連データは、MaaSを提供することによって得られる、人の移動に関係する価値の高い情報だ。そのため、データを提供した対価・インセンティブとして、匿名化処理などをしたうえで、プラットフォーム運営者又はデータ提供者に共有されることが望ましい、とガイドライン案は示している。
また、地方公共団体が地域の交通計画やまちづくり計画などを策定するために用いる場合、その求めに応じ、移動関連データが提供されることが望ましいとしている。そのデータの範囲については、交通事業者や地方公共団体等が交通ネットワークや交通サービスを議論するための参考データとして活用できる内容であることも求めている。
(3)個人情報・プライバシー保護対策 データ提供者、プラットフォーム運営者及びデータ利用者が提供等を行うMaaS関連データには、個人情報保護法等に求められる必要な処置を行うこと。また、個人情報・プライバシー保護については、関係者同士で認識や体制が同等ではないケースも想定されるため、あらかじめ調整を図っておくことが望ましいとしている。
(4)セキュリティ・改ざん対策 MaaS予約・決済データ、移動関連データ及び派生データについては、所要のセキュリティ・改ざん対策を行う必要性を述べている。
(5)関係者間でのデータの取扱い 関係者同士でデータを扱うことを想定した場合、データ提供者、プラットフォーム運営者、サービス事業者など、どの立場同士か、あるいはどんなケースかによって、検討すべき事項も異なってくる。それを図に示すケースに分類し、留意すべき事項をまとめたのが以下の箇所だ。
A. データ提供者及びMaaSプラットフォームの連携
「データ提供者」とは、公共交通事業者、生活・観光サービス事業者、道路・インフラ事業者など、MaaSプラットフォームに必要なデータを提供する各主体を指している。
ガイドラインでは、交通事業者にMaaSプラットフォームにデータ提供を行うにあたって、下記いずれかの対応を行うことを求めている。
・各主体が有するデータの形式、規格、用語の意味等を公開
・データの項目ごとに使用する単語の意味を交通モードごとに統一化
・交通モードごとにデータ形式の標準化
また、データの提供については、データ提供者プラットフォーム運営者と調整した方法により行うこととしている。特に、公共交通機関の遅延の有無に関する情報については、交通事業者間で合意した方法で提供されることが望ましいとしている。また、データ提供者は、協調的・競争的データを明らかにして提供するという指針が記されている。
ガイドラインでは、交通事業者にMaaSプラットフォームにデータ提供を行うにあたって、下記いずれかの対応を行うことを求めている。
・各主体が有するデータの形式、規格、用語の意味等を公開
・データの項目ごとに使用する単語の意味を交通モードごとに統一化
・交通モードごとにデータ形式の標準化
また、データの提供については、データ提供者プラットフォーム運営者と調整した方法により行うこととしている。特に、公共交通機関の遅延の有無に関する情報については、交通事業者間で合意した方法で提供されることが望ましいとしている。また、データ提供者は、協調的・競争的データを明らかにして提供するという指針が記されている。
B. データ利用者及びMaaSプラットフォームの連携
「データ利用者」とは、MaaSサービスを提供する事業者、あるいは関連データを活用したビジネスを行う事業者が該当する。
プラットフォーム運営者からデータ利用者へのデータ提供は、契約等に基づいて適切に実施することが記されている。また、利用者は、協調的データは自由に活用可能で、競争的データは契約などに基づいて利用可能とする指針が盛り込まれている。
プラットフォーム運営者からデータ利用者へのデータ提供は、契約等に基づいて適切に実施することが記されている。また、利用者は、協調的データは自由に活用可能で、競争的データは契約などに基づいて利用可能とする指針が盛り込まれている。
C. プラットフォーム運営者によるデータの取り扱い
プラットフォーム運営者とは、その名の通りMaaSのデータプラットフォームを運営する主体だ。この項目では、(1)関連データを加工して派生データの作成を可能にすること、(2) データ提供者が定めた協調的データ・競争的データの区分を変更しないこと、などの指針を盛り込んでいる。また、その他に、データの管理や、プラットフォームの機能・サービスの保守についてのルールも検討項目に挙げている。
D. MaaSプラットフォーム間のデータ連携
ここでは、異なるMaaSプラットフォーム間のデータ連携について触れている。前述の通り、これらは相互に連携していることが望ましい。(1)連携を前提としてAPI等のデータ連携可能な手段を実装すること、(2) MaaSプラットフォーム間で連携するデータは、協調的データとすること、(3)連携したデータの取扱いは他プラットフォームの利用規約を遵守すること、以上の方針が示されている。
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