清水建設、技研で自動運転の実証実験 安全な走行を施設側からサポート
2018/11/5(月)
清水建設株式会社(以下、清水建設)は、完全自動運転技術を導入した施設・街区内移動システムの構築を目指し、東京都江東区にある自社の技術研究所内に、自動運転車両の安全かつスムーズな走行を施設側からサポートする管制・監視システムを構築、自動運転技術等を開発するベンチャー企業の株式会社ティアフォー*1(以下、ティアフォー)の技術協力の下、システムの実効性を検証する実証実験に着手した。
*1:完全自動運転のプラットフォーム事業やサービス事業を行う名古屋大学発のベンチャー企業。自動運転ソフトウエア「Autoware」を使った完全自動運転システムの開発を目的に、2015年12月創業。
自動運転の実用化に向けた技術開発が加速する中、将来的に、施設や街区内での人や物の移動・搬送にも自動運転技術が広く活用されることが予想される。一方、施設・街区内において車両走行の自動化を図るためには、施設・街区の3次元デジタルマップや、自動運転車両の安全走行やエリア内でのシームレスな移動を施設側からサポートする高度情報インフラの構築が求められる。清水建設は、技術研究所での実証実験に当たり、敷地内での自動運転の鍵となる高精度3次元マップを整備するとともに、自動運転をサポートする情報インフラとして、構内建物群のBIMデータの施設情報と自動運転車両の位置、走行状態などの情報を一元管理する管制・監視システムを開発した。
実証実験では、施設側の管制・監視システムとティアフォー社が開発した自動運転車両の運行管理システムをクラウドサーバーを介して連結し、同社の自動運転ソフトウェアを搭載した複数の完全自動運転車両の同時走行実験や、車両の走行状況に応じて建物設備を自動制御する施設連携実験を実施する。同時走行実験では、管制・監視システムからの管制指示に基づく車両の発進・走行制御の実効性を確認するとともに、監視カメラとAI画像認識技術を活用して車両や人の状況を把握することで、走行の安全を支援する。車両・施設の連携実験では、構内で自動運転車両が建物内外をシームレスに移動するための技術要素として、車両の到着に合わせてシャッター設備の開閉を自動制御する技術を検証する。
今後、施設・街区内で自動運転車両と人が共存するための環境構築に向けて、車両とエレベーターの統合制御技術や、歩行者ナビゲーションシステムとの連携技術などの開発・実証実験にも取り組む予定だ。これらの実証実験の検証結果を踏まえて自動運転技術、施設連携技術の高度化を図り、2020年3月までに、複合商業施設や、オフィス、ホテル、工場・物流施設、キャンパス、病院、交通ターミナル向けの施設内移動システムの構築を目指す。