トヨタ、友山茂樹副社長がMaaS戦略についてプレゼン 第3四半期決算報告で
2019/2/8(金)
トヨタ自動車(以下、トヨタ)は2月6日、平成31年3月期の第3四半期の決算説明会を行うとともに、事業の近況を含むトヨタのモビリティカンパニーに向けた取り組みについて、トヨタ自動車副社長・友山茂樹氏が登壇した。
友山氏はトヨタのコネクティッド・GAZOO Racing・TPSなどの領域を統括している。今回は主にコネクティッドとMaaS事業についての取り組みを紹介した。MaaS戦略における「三本の矢」
トヨタは、2020年までに全ての車両をコネクティッド化することを宣言している。この実現に向けた戦略として、「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)の構築」「ビッグデータの活用によるジビネス変革」「他者との提携による新たなモビリティサービスの創出」という三本の矢を掲げた。特にMSPFは車両と外部との接点であり、ライドシェアや保険会社などがMSPFを介してトヨタ車にサービスを提供できるようになることを目指している。また、それらのコネクティッド戦略には「守り」「改善」「攻め」の3つの顔があるとした。「守り」は既存のバリューチェーンの維持・拡大である。具体的にはオペレーターサービス「eケア」において、車両データに基づいたタイムリーなアフターケアサービスを目指す。これは販売店の入庫増やトヨタ・レクサス車への代替維持にもつながる。「改善」とは従来のサービスの品質・リードタイム・生産性の改善である。そして「攻め」は車の新たな価値やモビリティ事業の創出である。具体的には、現在実用化されている、自然対話でナビ操作を行えるクラウド型のAIアシスタント「エージェント1.0」のサービス向上を目指す。友山氏は、このサービスをモビリティカンパニーとして新たな成長を目指す重要な領域と位置付けた。
多様なアプローチでMaaS事業を展開
さらに友山氏は、「外部事業者協業モデル」「トヨタ事業主体モデル」「販売店事業主体モデル」というMaaS戦略の3つのアプローチを掲げ、「どのアプローチを選ぶかは地域の状況によって異なるが、いずれにせよメンテナンス、保険、リースなどのバリューチェーンビジネスをいかに確保するかが重要である」との考えを示した。「外部事業者協業モデル」の代表例として友山氏は、東南アジアで配車サービスを展開するGrabと協業したトータルケアサービスを紹介した。トヨタはシンガポールでGrabが所有する1500台の車にMSPF上のサービスを提供した。車両管理・保険・メンテナンスなどを一貫して行うことで車両の稼働率向上と保守費用の低減につながるという。トヨタはGrab車両の東南アジアにおけるトヨタ車のシェアを2020年までに25%引き上げることを目標としている。