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Uberアプリ、注目されるタクシーとの共生

2018/8/21(火)

左から、兵庫県タクシー協会淡路部会長 池田昌宏氏、兵庫県淡路県民局長の吉村文章氏、ウーバーテクノロジーズ・アジア太平洋地域モビリティ事業統括部長のAmit Jain氏

左から、兵庫県タクシー協会淡路部会長 池田昌宏氏、兵庫県淡路県民局長の吉村文章氏、ウーバーテクノロジーズ・アジア太平洋地域モビリティ事業統括部長のAmit Jain氏

米配車サービス大手のウーバーは7月21日、淡路島でタクシー配車の実証実験を開始した。ウーバーとタクシー会社とのパートナーシップによる実証実験は国内初となる。

ウーバーとタクシー会社とのパートナーシップによる実証実験が淡路島で開始

同日、兵庫県立淡路夢舞台国際会議場で「ウーバー配車アプリ」導入実証実験開始式典が行われ、兵庫県淡路県民局長の吉村文章氏(以下、吉村氏)、ウーバーテクノロジーズ・アジア太平洋地域モビリティ事業統括部長のAmit Jain氏、兵庫県タクシー協会淡路部会長 池田昌宏氏らが出席した。吉村氏は挨拶で、「ウーバーが日本にやってきた時、黒船到来と言われ、日本のタクシー会社が駆逐されるのではないかと言われた。日米の強固な同盟関係のように、タクシーとウーバーもWin-Winな関係を築けると確信している」と述べ、「このアプリを白タクに拡大することはまったく考えていない」と強調した。

実験はウーバー、兵庫県淡路県民局、淡路島島内タクシー業者の3者によって行われる。淡路県民局では2018年より「淡路島総合観光戦略」を策定し、世界から選ばれる魅力づくりや国内外から観光客を呼び込むプロモーションを戦略に盛り込み、インバウンドの受入体制の強化を図っている。ウーバーのスマートフォン向け配車アプリは、世界600 以上の都市において約 50 の言語で利用されており、海外で慣れ親しんだ配車アプリを活用することで、インバウンドの需要を取り込む考えだ。また、地元住民の島内二次交通にも活用する。

アプリは日常的に利用している言語での操作が可能で、配車の他、運賃の事前確認や降車時の支払いができる。乗り降りは原則として淡路島内だが、島外での降車は可能だ。淡路島内のタクシー事業者12社中、9社が参加し、専用のデザインが施された車両40台で実証実験を行う。タクシー事業者にはドライバー用のスマートフォンアプリを導入し、アプリ上で配車受付が行われる。期間は来年3月までだ。

ウーバーが海外で展開する自家用自動車を使用しての有償旅客運送はいわゆる「白タク行為」にあたるため、日本国内では禁止されている。ウーバー配車アプリの国内導入事例としては、2016年に京丹後市で道路運送法第78条2号に基づく自家用有償旅客運送の「公共交通空白地有償運送」としてNPO法人が主体となった自家用車の配車サービス「ささえ合い交通」や、2014年に東京でスタートしたハイヤー配車サービスがある。

淡路島で行われている実証実験でのアプリ画面



「ライドシェア新法」と「規制のサンドボックス」制度

今年の5月には楽天の会長兼社長である三木谷浩史氏が代表理事を務める一般社団法人 新経済連盟が「ライドシェア新法」の提案を国宛てに提出し、話題となった。訪日外国人観光客数の増加とタクシー業界の人手不足をシェアリングエコノミーによって課題解決するのが目的だ。また、6月6日には生産性向上特別措置法のプロジェクト型「規制のサンドボックス」制度が施行された。参加者や期間を限定し、新しい技術等の実証を行う環境を整備することによって、迅速な実証及び規制改革につながるデータの収集を可能とする法律だ。この法律のもと、どのような実証実験が行われるのか、タクシー業界においても注目が集まっている。

変わる社会と変わるタクシー

一方で7月にはJapanTaxiが展開する配車アプリ「全国タクシー」が東京無線協同組合と提携することを発表した。「全国タクシー」は2011年より日本初のタクシー配車アプリとしてスタート。500万以上のダウンロード数を突破し、全国47都道府県で60,292台のタクシーを呼ぶことができる。この「全国タクシー」アプリは業界を取り巻く新たな動きに対抗する強固なツールとなりつつある。

配車アプリの拡大やウーバーとの連携など、タクシー業界は一歩ずつ新しい道へ進もうとしている。淡路島で始まったウーバーとの実証実験については、タクシー会社からの意向ではなく、淡路県民局や観光協会など、地元の強い呼びかけによって実現したというものの、アプリを使用するユーザーが増えればタクシーの実車率も上がるだろう。変わっていくニーズとシェアリングエコノミーなどの潮流、業界が抱える人材不足などの問題をタクシー業界が既得権を守りながら解決していくためには、今回の実証実験のような新しい取り組みが求められていくだろう。

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