WILLER 村瀨社長「自宅から半径2km以内の移動にポテンシャルはある」特別インタビュー
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2021/9/1(水)
「月額5000円で乗り放題のオンデマンド交通をやりたい」
WILLER 村瀨茂高社長が2019年に語ったこの一言は、当時の交通業界に大きな衝撃を与えた。
あれから2年。WILLER は2021年6月に京都府京丹後市、7月に東京都渋谷区で月額5000円サブスクAIオンデマンド交通サービス「mobi」をスタートさせた。
「Community Mobility」をコンセプトに掲げ、自宅から半径2kmの生活圏内の移動に焦点を当てたmobi。サービス開始から現在までの状況と手応え、今後の展開について、WILLER 村瀨社長にLIGARE編集長井上佳三が話を聞いた。
AIオンデマンド交通サービス「mobi」とは
「mobi」は自宅から半径2km圏内を月額5000円で乗り放題で利用できるAIオンデマンド交通サービス。現在、京都府京丹後市と東京都渋谷区の2エリアで展開している。生活圏内でのちょい乗りサービスとして、買い物や通院、保育所への送迎などに一日何度でも利用できるのが特徴だ。渋谷エリアの場合、個人会員は月額定額5000円(1カ月30日)で、1人目の本会員が登録すると、その同居家族は家族会員として6人まで登録可能。家族会員は1人あたり月500円追加で利用できる。例えば、家族3人での利用の場合は合計6000円(1人あたり2000円)となる。
また1回のみの乗車も大人300円、子供150円でアプリから利用可能。さらに個人会員が予約・同乗する場合は、非会員も大人300円、子供150円で乗車できる。
その他、地域ごとに固定のドライバーが運行することで地域の安心や交流を目指す「Myドライバー制度」など、mobiによる新たな地域交通サービスの創出に取り組んでいる。
サービス開始から現在までのmobiはどうなっているのか。WILLERの村瀨社長に詳しく聞いていく。
――サービス開始から1ヶ月以上が過ぎましたが、今の状況は?
村瀨社長:結論から言うと、「自宅から半径2km圏内の移動のポテンシャルはある」と言えると思います。mobiの定額プランの会員数は、7月末時点で渋谷エリアが約300世帯、丹後鉄道沿線エリアでは約80世帯です。
渋谷の場合、利用数は1日約130件。渋谷に特徴的なのは朝7時から夜22時まで平均して常に需要があるという点です。あえて言えば、朝8時〜13時と17時〜20時が若干多く、12時〜16時頃が若干少ないですが、ほぼ一定していると言えます。毎日、朝から夜まで乗車予約がひっきりなしに入っている状態です。
――通常、バスや鉄道では朝と夜にラッシュがあるところが、mobiは終日ほぼ一定というのが面白いです。
村瀨社長:自宅の近所を自転車やマイカーのちょい乗りで動いていた移動が、そのままmobiにスライドしてきたような印象ですね。特に渋谷の場合、公共交通は通勤通学利用がメインであって、昼間の買い物など、町の中を回遊するようなちょっとした暮らしの足にはあまり使われていないと言うことではないかと思われます。