ヤマト運輸、北海道奥尻島で客貨混載ライドシェア「島のりあい」の実証開始 集配車両で交通空白解消へ
2025/9/1(月)
奥尻町とヤマト運輸は2025年8月29日よりヤマト運輸の集配用ワゴン車両を活用した客貨混載型の公共ライドシェア「島のりあい」の実証運行を北海道奥尻島で開始した。物流ネットワークを生かして住民や観光客の移動手段を確保し、バスやタクシーが運行しない時間帯の「交通空白」解消を目指す。本実証は国土交通省の採択を受けた実証プロジェクトの一環である。
北海道南西部に位置する離島・奥尻町は、人口約2,100人に対して高齢化率が約41%に達し、島民の生活や観光客の周遊における移動手段の確保が喫緊の課題となっている。島内の交通はバスが1日9便、タクシーが1社のみと限られており、時間的な「交通空白」が顕在化していた。
この課題を解決するため、奥尻町とヤマト運輸は「公共ライドシェア制度(自家用有償旅客運送)」を活用し、地域にある車両や人材、物流網を掛け合わせた持続可能な移動支援の仕組みづくりに乗り出す。実証期間は2025年8月29日から12月末までを予定し、期間中の運賃は無償である。
運行を担うのは、ヤマト運輸のセールスドライバーだ。日中の集配業務の空き時間を活用し、集配用のワゴン車両で客貨混載輸送を行う。運行時間は8時から19時までで、島内全域が対象。予約はヤマト運輸奥尻営業所への電話で受け付ける。
また、2025年9月中には、町民が副業や地域貢献としてドライバーを担う住民参加型モデルの実証も開始する予定だ。町が管理する車両を使用し、主に夕方から夜間の観光・生活移動に対応することで、地域全体で移動を支える「一人多役」モデルの可能性を検証する。
今回の実証を通じて、移動ニーズの実態把握や運行スキームの検証、費用構造の検討を行う。奥尻町とヤマト運輸は、実証結果を踏まえ、2026年度以降の本格運行(有償化)に向け、運賃設定や町民ドライバーの継続的な確保・育成策などを構築していく計画である。

