自動運転がもたらすコネクティビティ BMW
2017/11/14(火)
ボレス氏と、三菱総合研究所次世代インフラ事業本部スマートインフラグループ リーダーの杉浦孝明氏(以下、杉浦氏)によるディスカッション
杉浦氏:自動運転に近い技術はここ2、3年で出ており、この後進化していくことは容易に想像できます。社会やモビリティ、あるいは移動可能性を変革していく可能性があります。都市での渋滞や交通事故が課題となりますが、一方で、地方の生活圏は疎になっていき、生活の基盤、公共交通をどう確保していくかが課題となります。自動運転の技術や、これを活用してモビリティサービスを実現していかなければなりません。
講演を聞いた印象では、BMWはそのようなサービスや人の移動をどう提供していくかという社会全体を考えたビジネスを考えていると感じました。それでは、そもそも自動運転を世に出そうとする背景やねらいをいま一度教えてください。
ボレス氏:
高齢化もそうですが、東京で問題となっているのは、渋滞や駐車スペースを探すことではないでしょうか。24歳以下の40%の人たちが運転をしたくないと言っていて、運転免許もとりたくないと言っています。また、車両を所有したくないというのは、駐車スペースがないからと答えています。
そこで、インフラに働きかけるアプローチが必要です。シェアードエコノミー、カーシェアを受け入れ、クルマのコネクティビティにより交通がスムーズになります。渋滞を回避し、次の信号が青なのかどうかも事前にわかり、交通のコーディネートができます。
杉浦氏:
これまでは道路や橋などハード的なインフラにコストをかけてきました。これからはカーシェアや自動運転のクルマそのものがインフラになります。では視点を変えて、コネクティッドカーは自動運転を実現するのに何の役に立つのでしょうか。
ボレス氏:
コネクティッドカーは、これから何が起きるのか、人間が目で見るよりも先にわかります。一番適切で速いルート、燃費が向上する方法を見つけてくれます。これはインターネットによって実現します。
杉浦氏:
クルマでいろいろな情報が手に入るのはその通りです。また、現在ではスマートフォンが普及し、SNSが発達してきました。何年か前まで移動時間は無駄な時間でしたが、今では電車に乗っているときが一番貴重なコミュニケーションの時間になるというパラダイムシフトが起こっていますね。最後に技術的な面をお聞きしたいのですが、レベル2から3に移行する上での課題や必要な技術は何だとお考えですか。
ボレス氏:
この移行は非常に重要です。機械が実際の運転の全てを行う段階に入ります。しかし、ウィーン条約によって、クルマを運転するためには中にドライバーがいなければいけないということが決まっています。また、ドライバー自身はクルマに何が起きているのかを理解していなければいけません。
機械が何をできて、自分が何をできるのか。例えば運転中にオンボードのエンタメシステムを見たり使ったりすることはできても、眠ることはできません。何かが起こったときに反応するのに必要な時間は5秒といわれています。これは確保しなければいけません。これをクリアできれば、レベル3から4に移行するのは早いと思います。
杉浦氏:
レベル4の状況に近くなってくると、車を製造して提供するというメーカーのビジネスの位置づけが根本的に変わって行き、ある人をどこからどこまで運ぶかという「運ぶこと」を提供する商売にビジネス領域が変わってくると感じました。
製造業という事業から、公共交通事業に近いような、コミュニティ、オペレーション事業を提供するような事業の形態に次第に変わり、それに従って利用者との契約や、周辺の制度の整備、リスクマネジメントも必要になると感じます。
本日はありがとうございました。
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