東急、観光型MaaS「Izuko」Phase3の検証結果発表
2021/4/28(水)
東急株式会社(以下、東急)は、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)、伊豆急行株式会社(以下、伊豆急行)と共に、2020年11月16日から2021年3月31日に伊豆を中心としたエリアで、さまざまな公共交通機関や観光施設、観光体験をスマートフォンで検索・予約・決済できる観光型MaaS「Izuko」Phase3の実証実験を行った。4月27日付のプレスリリースで、実証実験の検証結果をまとめたものを発表している。
今回の実証実験では、サービスエリアを西伊豆エリアや静岡・静岡空港エリアまで拡大すると同時に、観光商品をPhase2の約6倍にあたる125種に拡充させ、オリジナル観光体験を地元事業者と連携して作り出すなど、質と量の両面で、来訪目的の創出を推進した。また事前購入機能の導入、および会員登録時の認証や決済方法の選択肢を増やすなど、ユーザーの利便性向上を図っている。
エリア拡大の結果、販売枚数全体における中伊豆、西伊豆エリアの商品販売割合はPhase2の3倍となる12%伸長し、利用エリア拡大の効果がみられた。また観光商品の拡充についても、Phase2と比較した全チケットに対する観光チケットの販売割合は高くなり、より多くのユーザーのニーズに合った観光商品を充実させることができたという。
しかし、観光チケットの合計販売数は想定を下回った。これについて東急は、コロナ禍の外出自粛の影響を受けたことが原因と考えている。また、新たに開発した予約型のオリジナル観光体験商品については、ユーザーから好評を得ていたものの、コロナ禍の状況が見通せない中で、利用3日前までの予約が必要という制約が心理的ハードルになったという考察を示した。
機能面拡充については、交通チケット購入者の約半数が事前に購入し、約4割のユーザーが新しく導入した認証、もしくは決済方法を利用するなど、利便性の向上に寄与したと考えている。
そのほか、新たにワーケーション施設との連携を行った結果、全利用者の2%をワーケーション滞在者が占め、コロナ禍において生まれた新しい需要を確認した。その一方で、ワーケーション滞在者のニーズに即した商品開発など、伊豆の関係人口増加に向けた新たな課題も明らかになった。
今回の実証実験は、12月末からのGoToキャンペーン停止、首都圏における緊急事態宣言の発出、それに伴う観光・宿泊施設の休業などの時期が重なった影響を受けた。しかし、実証実験に参加した各事業者が、データを随時活用できる機能を整備し、効果測定をタイムリーに行い、各タイミングで最適なプロモーションを実施した。これにより、2月上旬の静岡県内での新型コロナウイルス警戒レベルの引き下げや河津桜の開花以降、徐々に「Izuko」の利用が伸長し、緊急事態宣言解除後には、多くのユーザーが利用しているという。
なお東急は、今回の実証実験の結果を踏まえ、今後社会実装を含め、持続可能な運営体制や収益確保に向けて、関係者と検討していくと述べている。