関電出資のゲキダンイイノ、自動走行モビリティ「iino」の実証実験実施
2022/11/4(金)
ゲキダンイイノ合同会社(以下、ゲキダンイイノ)と神戸ウォーターフロント開発機構は、時速5kmの自動走行モビリティ「iino」(イイノ)による実証実験を、11月17日~11月20日に神戸ウォーターフロントで実施する。関西電力株式会社(以下、関西電力)が10月27日付のプレスリリースで明かした。
ゲキダンイイノは、関西電力が100%出資している合弁会社だ。関西電力のイノベーションラボから事業化し、2020年2月に設立した。また、同社は、時速5kmの自動走行モビリティ「iino」によるサービスを10月2日から開始している。これまで鉄道やバス、タクシーなど多くのモビリティは、運賃を払って目的地まで直線的に移動するというのが基本的な考え方だった。しかし、同社は、大型商業施設や公園では、目的となるポイントが複数存在することや、そもそも目的なく自由に移動できるほうがその場所を楽しめることが多いと考えているという。さらに、近年、神戸ウォーターフロントに限らず、多くの施設で大型の面開発が行われるため、1施設内においても徒歩のみで移動するには遠いと感じている利用者が増えている。
そこで、同社は、誰もが運賃を気にせず自由に好きな時に乗って好きな時に降りることができるようなモビリティこそが、その場所の体験価値を向上させると考えているという。
一方、運賃をゼロにすると事業者側の負担が大きくなり、導入コストが課題のひとつとなる。iinoを用いたサービスでは、モビリティ走行によって人の流れを作り出し、走行ルート上での物販や時間限定でのクルージングコンテンツなどを実施する。これにより、新たな収益を生み出すことで、事業者側のランニングコスト負担を軽減させ、運賃ゼロモデルの確立を目指す。
同実証実験では、神戸ウォーターフロントの回遊性の向上と賑わい創出に取り組む。同社は、「iino」導入による回遊性と滞在性の向上、また走行の安全性についての検証を2022年6月に実施した。2度目となる同実証実験では、事業性の観点も交え、モビリティサービスとしての実現にかかる検証を行う。
具体的には、「ふ頭用地でのモビリティ走行による回遊性向上効果の検証」、「走行ルート上での軽飲食の販売による収益性検証」、「夜景が美しい海岸沿いのモビリティナイトクルーズの需要性調査」を実施する。
「ふ頭用地でのモビリティ走行による回遊性向上効果の検証」では、点在する観光エリアをiinoでつなぐ。そして、利用者は好きな時にiinoに乗り降りできるようにすることで、回遊性の向上を促す。また、実証期間中はカメラや3D Lidarなどのセンサーにより人流データを収集・分析を行う予定だ。将来的には、時間帯によって変化する人の流れに合わせて、最適な台数で最適なルートを走行することを目指す。
「走行ルート上での軽飲食の販売による収益性検証」では、屋台機能を兼ね備えたモビリティの発着拠点(モビリティスポット)を設置し、神戸発のクラフトビールやホットドッグなどを販売する。くわえて、回遊するポップコーンマシンが、海沿いのエリアを自動走行して無人調理&販売を行う予定だ。実験時は、安全確保のため近接監視スタッフを配置するという。
「夜景が美しい海岸沿いのモビリティナイトクルーズの需要性調査」では、普段は足を運ぶことが少ないエリアをナイトクルーズ限定ルートとして活用する。これにより、利用者は、神戸港の美しい夜景を楽しみながら走行することができる。