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加速する陸と空のアライアンスーーLIGAREビジネスセミナーレポート「陸・海・空がつながる日本版MaaS」(前編)

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2019/12/2(月)

全日本空輸株式会社(ANA)企画室MaaS推進部長の鈴木謙次氏

9月6日、「陸・海・空がつながる日本版MaaS」と題し、都内でLIGAREセミナーを開催した。現在国内でのMaaSに関する取り組みが進んでおり、交通モード間を飛び越えたアライアンス結成の動きがますます加速している。この動きは鉄道やバス、タクシーをはじめとした地上交通の枠組みだけにとどまらず、まさに陸・海・空、全てを巻き込む大きな流れを生み出しつつある。それでは全てのモードがつながるMaaSの姿とはどのようなものだろうか?当セミナーに登壇した、全日本空輸株式会社(以下、ANA)企画室MaaS推進部長の鈴木謙次氏、西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)総合企画本部MaaS推進室室長の神田隆氏の講演から見ていきたい。
※ 前編はANA 鈴木謙次氏の講演内容。

航空会社にとっては「古くて新しいMaaS」?

今年7月、ANAはMaaS推進部を立ち上げた。鈴木氏によると「(部署の立ち上げは)今年度の中期経営計画には盛り込んでいなかったが、活発化するMaaS市場を背景に取り組み始めた」と語り、ビジネスの指針を修正するほどの大きな潮流の到来を感じていたことが伺える。また、取り組むにあたって、鈴木氏はこれまでのANAの足跡を振り返ったところ、現在で言うMaaSに関連する取り組みを既に早くから行っていたことに気づいたという。

例えば、2005年から2007年まで航空便の到着時刻と合わせた空港からの鉄道時刻表の提供、つまり異なるモード間をスムーズに移動するためのサービスを行っていた。そのほかにも、2000年から2016年まで日本航空(JAL)と運営していた「国内線.com」というサイトでは、両社の航空便を比較から予約・決済の統合に先駆けて取り組んでいたり、2002年には一部空港で相乗りタクシーのサービスを展開したりと、現在MaaSを考える際に真っ先に挙がるようなサービスや機能を、統合された形ではないにせよ提供してきた。こうしたANAの歩みを振り返り、「今MaaSという流れが来ているが、航空会社、またANAにとっては、実は昔からの課題として取り組んできた経緯がある」と鈴木氏は語った。

鈴木氏によると、航空会社のネットワークは「O&Dマーケット」、つまり移動の出発地(Origin)から目的地(Destination)までをしっかり見ることが基本的な戦略だという。この場合、飛行機が単機で発着する場所を指すのではなく、乗り継ぎを含めた移動の起点から最終的な目的地までを指している。航空による移動全体の需要をどう捉え、どのように路線ネットワークを提供していくか、という考え方だ。乗り継ぎを含めるとさまざまな組み合わせの移動パターンがあるが、ANAを含め世界中の航空会社はこの戦略を軸に、コードシェアなどを活用して便利な移動を提供できるように取り組んできた。

7月のMaaS推進部立ち上げにあたり策定したANA MaaSビジョン(ANAの講演資料より)


空から見たMaaS

では、MaaS、あるいは移動プロセス全体から見た航空とはどのような立ち位置にあるのか。
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