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マルチモーダルの進化が MaaSの価値を高める ―ヴァル研究所の取り組み―

2019/8/29(木)

LIGAREモビリティサービス交流会の様子。 左:株式会社ヴァル研究所 菊池 宗史 代表取締役

MaaSが議論の的になった昨年から、現在では各所で実証実験が行われたり、異業種間のアライアンスが次々発表されたりと、具体的な取り組みへのシフトチェンジが加速している。一方で、データの利活用をはじめ、より実践的なステップに進めるために考えるべき項目は多い。6月13日に都内で「LIGARE モビリティサービス交流会」を開いた。登壇者には、株式会社ヴァル研究所の菊池宗史代表取締役(以下、ヴァル研究所、菊池氏。開催当時、取締役 兼 事業統括本部本部長)と、株式会社PTVグループジャパンのITSソリューション部から宮崎純一マネージャーを招いた。当記事では、菊池氏の講演を振り返りながら、同社が取り組むMaaSの最前線を紹介する。
7月1日、新たにヴァル研究所の代表取締役に就任した菊池氏は、同社のMaaSの取り組みについて講演を行った。「MaaSは『手段』であって『目的』ではない」とし、モビリティを通して交通課題の解決や、新たなサービスの提供を行っていく考えを示した。

また、人口減少・少子高齢化・訪日外国人の増加が進むにつれて人の移動需要は多様化する一方、自家用車・鉄道・バスの輸送人員の推移は1990年代ごろから大きく変わっておらず、「交通は変わっていない」と菊池氏は指摘する。また、高齢者の事故多発、交通渋滞、地方バス路線の赤字など問題が山積しており、時代に適合する移動手段を構築する必要性が増している現状だと言える。

菊池氏は、「このような時代背景があってMaaSが注目されている。キーワードはデジタルシフトとデータ活用。それを言い換えたのがMaaSの本質だと思っている」と語る。モビリティのデジタルシフトとは、今まで交通インフラを利用者が選択する、いわば人が交通を選ぶ時代から、データの利活用で移動需要に合わせたオペレーションを行う、つまり交通が人に合わせる時代への変化を指し、今後そのような状況にシフトしていくと菊池氏は考えている。デジタルシフトにより、利用者は最適な移動や予約・決済を含めた一元利用、交通事業者はデータを活用した移動・行動の提案や運営の効率化が可能になる。また、データの利活用はスマートシティの推進や他業種との連携を生み、「サービスとしてのモビリティ」を実現することができるという。

MaaSデータ領域のイメージ。ヴァル研究所は利用者データに焦点を当てたデータ利活用を進める。
(資料:ヴァル研究所)


利用者データをいかに活用していくか

そこで重要になるのがデータの役割、つまりどのようにデータを利活用していくのかという点だ。菊池氏は、交通事業者がアプリケーションを通して利用者にサービスを提供するまでに、事業者データ(時刻表・運賃・リアルタイムデータなど)、外部データ(天気・イベント情報・人流データなど)、利用者データ(属性・行動・購買データなど)の大きく3つのデータがあるとした。そのうち、事業者データと外部データはMaaSプラットフォーマー側で管理するいわば「食材」にあたるもので、「これから勝負になるのは、味付けと調理をいかに行っていくか。アプリケーションや利用者データをいかに集中して活用するかということが重要」との考えを示した。

利用者データを利活用した事例としてヴァル研究所は、位置情報ネットワーク「 Adgram 」という広告商材を開発・販売している。例えば、
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