経産省 IoTやAIを活用したMaaSに関する中間整理を発表
2018/10/22(月)
経済産業省では、IoTやAIの活用によって提供が可能となる新しいモビリティサービス(広義のMaaS:Mobility as a Service)を活性化させていくことが経済成長や産業高度化の観点から重要であるとの問題意識を背景に、本年6月から「IoTやAIが可能とする新しいモビリティサービスに関する研究会」を開催。有識者や企業との情報交換、意見交換等を進め、現状と課題の整理や今後の取組の方向性等について検討を重ねてきた。10月17日、これまでの検討の成果を中間整理として取りまとめを発表した。
■背景
第4次産業革命の波がモビリティの世界に到来し、新たにIoTやAIを活用したモビリティサービスが広がりつつある。新しいモビリティサービスの進展は、より高付加価値で快適な移動を実現する可能性を有するとともに、消費者とのタッチポイントで集約されるデータを商品購入や旅行等の多様なサービスに活用することで、幅広い産業の活性化に資することが期待されている。こうした潮流は、既存の交通事業者に加わる形で、ICT企業、自動車産業、スタートアップ、自治体など様々な主体が参画する形で進んでいる。将来的には、モビリティにかかわるプレーヤーの構造に大きな変化がもたらされる可能性があり、特に自動運転技術の実用化とあいまって、自動車産業の在り方を大きく変えていく可能性がある。
■中間整理の内容と今後の取り組みについて
中間整理では、新しいモビリティサービスに関するグローバルな動向を整理した上で、それと対比する形で日本における現状と課題を整理。日本でも新しいモビリティサービスを実現しようとする動きが始まっている。しかし、海外と比較すると、日本において十分な広がりが見られるとは言い難く、これまでに経産省が行った企業ヒアリング等に基づけば、供給側に限ってみても、ビジネス実態面の要因と制度上の要因の両方が存在すると指摘されている。こうした状況を踏まえて、中間整理では今後の方向性として次の3点について整理を行った。
- 1. デジタル投資促進とデータ連携・利活用拡大のための基盤整備
- 2. スタートアップや異業種等との協業の促進
- 3. 企業と連携して新たな取組に挑戦する地域の支援
また、政府内においては、他省庁とも協力して、内閣官房日本経済再生総合事務局が中心となって進められる「産官協議会(次世代モビリティ/スマートシティ)」の検討にも積極的に貢献していく考えだ。
なお、この中間整理では焦点を当てなかったMaaSと自動運転の融合(レベル4以上の無人移動サービスカー)については、Connected Industries大臣懇談会自動走行分科会(自動走行ビジネス検討会)の下に専門的な検討のための作業部会(WG)を早急に設置し、制度整備をはじめとする必要な取組について検討を行っていく方針。この件については、詳細が固まり次第、別途報道発表がなされる見込み。