MaaS推進の道標となるか? 国交省「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」案を公開
2020/3/6(金)
国土交通省は、1月23日に第3回目の「MaaS 関連データ検討会」を開催。「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」の素案(以下、ガイドライン案)を公開した。
MaaSの導入にあたっては、公共交通データやトリップデータなど、さまざまなデータを連携させていく必要がある。一方、これらのデータは収集する事業者や団体、あるいは地域によって形式が異なる場合がある。MaaSの普及を前にして、連携するデータの範囲やルール、データ形式等を整理し、方向性を提示するために作られたのが今回のガイドライン案だ。
この記事では、各項目でいったい何が示されているのか、詳細を探っていきたい。
MaaSの導入にあたっては、公共交通データやトリップデータなど、さまざまなデータを連携させていく必要がある。一方、これらのデータは収集する事業者や団体、あるいは地域によって形式が異なる場合がある。MaaSの普及を前にして、連携するデータの範囲やルール、データ形式等を整理し、方向性を提示するために作られたのが今回のガイドライン案だ。
この記事では、各項目でいったい何が示されているのか、詳細を探っていきたい。
本記事は下記資料を参照し作成しています。また、記事中に使用している画像も下記資料から引用しています。
参照:国土交通省「MaaS関連データの連携に関するガイドラインver.1.0(素案) 概要」
資料URL http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001325155.pdf
【目次】
■ガイドライン案の構成
■MaaSの意義
■MaaSにおけるデータ連携の方向性
■ガイドラインの目的
■MaaSにおけるデータ連携の構造
▼戦略・政策
▼ルール
▼組織
▼ビジネス
▼機能
▼データ
▼データ連携
▼アセット
■終わりに
なお、本ガイドライン案では、構造を整理するためにSociety5.0(超スマート社会)実現に向けたリファレンスアーキテクチャ(後述) を下敷きにしており、MaaS関連のデータ整理の方向性は、Society5.0の実現に重要な位置づけを占めるスマートシティ構築の際の方向性にならっている。その理由は、スマートシティ構築に向けた取り組みはMaaSとも関連が深いからだ。また、そのアーキテクチャに従って分類された、MaaSにおける各レイヤー(層)については各地域等で提供されるMaaSごとに留意すべきだとし、それぞれの留意事項を整理している。
ガイドライン案は、前提としてMaaSの意義について述べている。複数の交通手段を統合させた効率の良い移動サービスによる利便性向上という点に言及しており、そのほかにも地域の活性化や混雑緩和、スペースの有効利用などを通じた環境負荷低減やスマートシティの構築も見据えている点をおさえておくべきだろう。
次に述べているのが「データ連携の方向性」について。以下の6項目を挙げている。
(1)移動関連データの活用について データ連携によって、出発地から目的地までの移動や、目的地での活動も含めた、より精度の高い人の移動関連データを地域で把握することが可能となる。高精度の移動関連データを、ニーズに対応した公共交通ネットワークの再編や、土地利用の最適化、移動需要の喚起等に活用する。
(2)地域課題の解決に向けたデータ連携 MaaSを活用して地域課題の解決につなげる。また、地域の経済やコミュニティの活性化に寄与するため、交通事業者をはじめとする各事業者のサービスに関するデータに加え、人の移動関連データが円滑、かつ、安全に連携されることが重要となる。
(3)MaaSプラットフォームの重要性 MaaSの提供に係るデータ連携において重要となるのが、必要なデータを、必要なときに取り出すことができるMaaSプラットフォームだ。
(4)MaaSプラットフォームの形態 現時点では、MaaSプラットフォームの基本的な形態として、以下の2つを想定する。ただし、提供サービスや扱うデータによってさまざまな形態を取り得る。
・機能付加型プラットフォーム
MaaS関連データの蓄積・管理等だけではなく、MaaSの提供に必要な検索・予約・決済等の機能も合わせて提供するMaaSプラットフォーム。
・データ基盤型プラットフォーム
MaaS関連データだけを扱うMaaSプラットフォーム。
(5)MaaSプラットフォームのあり方(API連携について) MaaSプラットフォームのあり方は、既存又は今後構築されるプラットフォームAPI等で連携されることが望ましい。
(6)各MaaSアプリのAPI連携、相互利用について MaaSアプリ等についても、各アプリ等がAPI等で連携し、一つのアプリ等で複数のアプリ等を利用できる状態になることが望ましい(下図)。
前述した「MaaSの意義」で掲げた目標に向けて、データ連携によって実現できること、またそのためにMaaSプラットフォームが必要になること、さらにその形態の大別、そしてAPIによるデータ連携について述べた内容だ。
ここで特筆すべきはMaaSプラットフォームの整備や運営の在り方について見解を示している点である。例えば、政府などが主導して統一プラットフォームを構築する場合も想定できるが、すでに日本のMaaS市場は過熱状態で、民間主導のプラットフォーム構築が進み始めている。その現状を踏まえて、プラットフォーム同士の相互連携を推進する方向性に進めることを想定した内容となっている。
国交省は、「MaaSにはデータ連携が重要であり、その基盤となるプラットフォームの構築や、データ連携のための機能・インターフェースが必要」だとしている。これらの連携を円滑かつ行うにあたって留意すべき点、あるいは各地域で提供されるMaaSごとに関係者同士で共有するべき点などを事前に整理しておく必要がある。つまりデータ連携に関する共通理解を促進すること、それが今回ガイドラインを策定した目的だ。ガイドラインでは対象者を、「これからMaaSに取り組もうとする者や、既にMaaSに取り組んでいる者等」と想定している。
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