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MaaS推進の道標となるか? 国交省「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」案を公開

2020/3/6(金)


▼組織

この項目では、「MaaSに関連するプレイヤー」になりうる組織を想定し、まとめている。具体的には、「公共交通を提供する者」「MaaSを提供する者」「生活・観光等サービスを提供する者」「MaaSプラットフォームを提供・運営する者」「MaaS関連データを活用したビジネスを行う者」などを挙げている。

これらのプレイヤーになりうるのは民間企業だけでなく、地方自治体、NPO法人、各種団体なども該当する。さらに、1事業者がプレイヤーとして1つの役割を担うだけでなく、複数の役割を担うケースもあり得る(例: 公共交通事業者が、MaaSを提供する者にもなるケースなど)。

また、MaaSは、民間主導で行われる場合や、地方自治体やNPO法人等の主導で行われる場合もある。そのため、検討したビジョン・目的、提供するサービスなどを踏まえ、持続的かつ自律的に運営するために適切な体制を検討することが必要になる。

ガイドライン案では、一つの主体だけですべてのサービスを提供するのは難しい場合もあるため、関係者で構成されるコンソーシアムによって運営する等、提供する地域やサービスの特性に応じた体制の構築が重要だと示している。

▼ビジネス

(1)MaaSにおける収入 この項目では、MaaSを持続的かつ自律的に運営していくために、「サービスの提供にあたって収益又は対価としての資産(データ)を得ること」が重要だとしている。

また、代表的なサービスについて以下の3種類が挙げられる。

・MaaSの提供 マルチモーダルを想定した検索・予約・決済のほか、生活・観光等のサービスと連携した検索・予約・決済、これらを統合したスマートフォンのアプリケーションの提供。そのほか、運送を直接的に担う(オンデマンドバス等も含む)やキャッシュレス手段の提供、新たなモビリティ等
⇒これらの提供を通して、検索・予約・決済に伴う手数料やサービスの利用料、運送収入などを得ること想定。またサービス提供にともなう移動関連データを収集できることも含んでいる。
・MaaSプラットフォームの提供 MaaSプラットフォームを提供し、MaaS関連データの収集・整理や、データ利用者へのデータの提供、MaaS関連データを加工した派生データの提供等
⇒データ提供の際の手数料、派生データの利用料のほか、データ利用者からの還元や機能の提供によって得られる移動関連データの収集等を想定。
・MaaS関連データを活用して行われるMaaS関連サービス MaaS関連データを活用したサービス全般。
⇒サービス利用料のほか、移動関連データの利用料等を想定。
(2) MaaSにおけるデータ連携に必要な費用 ここでは、データ連携に必要な費用の想定について記してある。持続的なMaaSの提供のためには、あらかじめ関係者間で必要な費用を整理し、どの主体が負担するのかあらかじめ合意を得ておくことが必要だとしている。

費用については、以下の4種類を想定している。
 ・公共交通関連データの提供に必要な費用
 ・MaaSプラットフォームの整備・運営に必要な費用
 ・データの提供方法の整備に必要な費用
 ・個人情報・プライバシー保護対策やセキュリティ対策に必要な費用

▼機能

この項目は、「ビジネス」の項で想定したサービスの場合、必要となる機能のイメージを記している。

(1)MaaSの提供 検索対象となる範囲・地域の設定や経路検索のアルゴリズムの設定のほか、予約可能な交通機関、決済手段の設定等が必要となる。また、運送サービスの場合、そのサービス提供エリア、運行ルート、運行頻度、営業時刻の設定や運行管理等も必要だ。

(2)MaaSプラットフォームの提供 MaaSプラットフォームに蓄積するMaaS関連データの範囲や更新頻度の設定などが必要になる。

(3)MaaS関連データを活用して行われるMaaS関連サービス サービスの利用可能時間、利用地域、利用者の範囲など、提供するサービスの利用に応じた設定が必要。そのほか、利用者の行動分析、交通量の分析等、ニーズを踏まえたうえでサービスの内容を設定する必要がある。

また、MaaSに求められる機能は、サービスを提供する地域や、提供する体制などによって異なる。つまり、同じサービスであっても、導入する地域ごとに機能の調整(ローカライズ)が必要となる場合があり得る点も留意しておく必要がある。

▼データ

この項目では、MaaSに必要となるデータについて述べている。MaaSにとってデータ連携が重要であることはこれまでにも述べてきたが、ここではさらにMaaS関連データを提供したり、活用したりすることは、利用者の利便性向上等につながる新たなサービスへの参加・開発できるメリットがあるとしている。

また、MaaS関連データとして想定されるデータ項目を以下のように列挙している。
(1)公共交通関連データ
各交通事業者等からの静的・動的データ
(2)MaaS予約・決済データ
移動者によるMaaS等の予約・決済に関するデータ等
(3)移動関連データ
出発地から目的地までの一連の移動実績・トリップデータ等、出発地や目的地、経由地での生活・観光などサービスの利用実績等
(4)関連分野データ
生活・観光等サービスに関する情報、道路・インフラ等に関する情報、車両等の移動に関するデータ、環境に関する情報等

▼データ連携

この項目は、データ連携の方法等について述べている。

連携の方法は、円滑に連携できる代表的な方法としてAPIを挙げている。ただし、APIの構築にも費用がかかるため、公共交通関連データ、MaaS予約・決済データや関連分野データの提供を行う場合は、適切で簡便な方法を選択できることが望ましいとしている。

APIでやりとりするにあたって、標準的な仕様を関係者と調整した上で定めることも必要だ。やり取りされるデータの状況、体制に応じた設定を鑑みて対応する必要がある。

さらに、国際的なデータ連携を視野に入れた取り組みについても述べている。

他国でも時刻同様のサービスを受けられるようになるためには、データ項目や形式等の共通化が必要だ。ただし、国際的なデータ連携に向けた仕様の共通化は、システム改修やデータ変換などのコストが伴う上に、インバウンド観光客等の利便性が上がる一方で、他国のサービスの参入が容易になり、競争環境が厳しくなることにも留意しておく必要がある。

▼アセット

最後の項目がアセットについて。MaaSを支えるソフト・ハード含めたシステムとして、以下のものが各主体で構築・整備・運用されることが望ましいとしている。

(1)政府・自治体等の場合 行政システム、行政データ・住民データ等のオープンデータ、地図、構造物等の社会インフラ管理システム、交通管制システム、交通情報配信システム、センサ、インフラデータ、エリアデータ等

(2)民間企業の場合 データの源泉となるシステム(データベース・予約システム、決済システム等を含む)、通信インフラ、センサ、アクチュエータ等

(3)個人の場合 サービス・アプリケーションを利用するスマートフォン等の端末等
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