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電動アシスト付自転車が担うモビリティの未来 〜普及のカギは効率性だけではない〜 OGSホールディングス

2017/11/22(水)


“電アシ”ならではの魅力

日本における自転車の用途は、移動、運搬、趣味の3つに大別できます。実際の用途はパーソナルユース・ビジネスユースを問わずそのほとんどが移動手段でが、移動用途におけるパーソナルユースはすでに電動アシスト付き自転車に置き換わりつつあり、大幅な市場拡大は期待できそうにありません。

新たな市場開拓が課題となるなか、OGSホールディングスが着目する「趣味性」にはその答えひとつが見え隠れしています。

例えば一般的な電動アシスト付き自転車の平均販売価格は8万円台といわれています。ところが代官山モトベロでの売れ筋は13~14万円台です。この差はどこから生じているのでしょうか。澤山氏は次のように話します。

「代官山モトベロをオープンしてみると、実際の客層として多いのは主婦層でした。モトベロは従来の自転車店とは違い、電動アシスト付き自転車の専門店。しかも試乗ができて、カスタマイズもできて、選べる車種の幅も広い。ある程度は予想していましたが、その辺りが主婦層に受け入れられたということです。しかし実は、主婦層に売れている車両の価格帯は従来型の自転車店と大差はありません。私たちが重視している戦略は、『電動アシスト付き自転車ならではの楽しさ』の訴求にあります」

移動や運搬ではなく、趣味として自転車に乗ることはかなり広く認知されたといっていいでしょう。しかし最近の自転車趣味といえば、一般的には速度や走行距離を追求するいわばストイックなものが中心。ところが澤山氏は

「日本で販売されている電動アシスト付き自転車は、安全のため時速24kmでアシスト機能が切れる仕組みになっています。またバッテリーやモーターは合計で4~5kgにもなるため、速く走ることには向いていません」

と話します。では電動アシスト付き自転車ならではの楽しさとは何なのでしょう。

「電動アシスト付き自転車の特性は、実はゆっくりと楽しんで走ることに向いています。体力を使わずに走ることで、花の香りを感じたり、景色を見たりするゆとりも生まれます。それが格好いいデザインなら、より楽しく走れるでしょう。乗ってみたいという層は必ず拡大していくと考えています」

自分を追い込んだりせず、のんびりと走りを楽しむ。それも、格好いい電動アシスト付き自転車に乗って。実際に、意匠性に優れた電動アシスト付き自転車へのニーズは増えているといいます。

 

モビリティに共通する「楽しさ」というキーワード

新しい移動手段の普及を考えるとき、動力性能や環境負荷低減、移動コストなどの効率面が優先されるのは当然のことです。しかしマーケットの拡大には、趣味性を軸としたパーソナルユースとの両立も、効率面と同等の重要性を持っています。特にスピードや移動時間といったストイックさではなく、純粋に楽しさを求める層の存在を忘れることはできません。

澤山氏は「将来、自動車やオートバイ、自転車もシェアが増え、自己所有は減るでしょう。ただし、乗る楽しさを感じさせるものに関しては別で、自己所有のものが残りそうです」と話します。

CCCの理念は、書籍の販売を通じて新しい文化の創造を追求するという点にあります。モビリティの楽しさを文化として捉え、育んでいく。「楽しさ」を柱に電動アシスト付き自転車のマーケット拡大を狙うOGSホールディングスの取り組みは、その成功事例のひとつになりそうです。

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