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Shared Mobility Rocks 2023│シェアモビリティ国際会議レポート 第1回 「シェアモビリティはロックだ!」【寄稿:AMANE】

2023/10/16(月)

参加した日本チーム(提供:アザレル・チャモッロ氏)
左:株式会社AMANE 佐藤和貴子(筆者)
中央:株式会社未来シェア スマートモビリティ社会実装担当 Azarel Chamorro(アザレル・チャモッロ)氏
右:大日本印刷株式会社 モビリティ事業部 事業企画室 シニアエキスパート 上仮屋敏美氏
2023年9月13日に、ノースバンクーバーで行われたShared Mobility Rocks 2023。カーシェアやシェアサイクル、シェアスクーターといったシェアモビリティに焦点を当てた国際シンポジウムだ。
Shared Mobility Rocksは「車の所有台数を減らし持続可能なモビリティを増やすことで、排気ガスを削減し、利用できる都市空間を増やす。その鍵はシェアモビリティだ!」というメッセージを掲げ、ベルギーのNGO法人、Autodelen.netとMpactにより考案された。
2018年に第1回をアールスト(ベルギー)で開催。その後、ブリュッセル(ベルギー)やブレーメン(ドイツ)を経て、今回はノースバンクーバー(カナダ)で、初めての開催となった。
筆者は比較できるほど国際会議に出席した経験はないのだが、会場で始終ロック音楽の流れているシンポジウムは、そう多くはないことは確かだろう。バンクーバーの中心地からシーバスと呼ばれる船で10分ほど。対岸に市街地の高層ビル群を望む海沿いにレストランやカフェ、マーケットが並ぶ。その一角に、今回の会場The Pipe Shopがある。
元造船所を活用した会場では、ロック音楽が流れる中、イベントの赤いTシャツやバンドTシャツなど、ラフな格好をした人が行き来するのが目立つ。

参加者は地元バンクーバーをはじめ、アメリカのポートランドやカンザスシティ。また、ヨーロッパからはドイツ、ベルギー、オランダ、スイスなど、シェアモビリティのオペレーターや市役所の交通政策担当者、研究者、公共交通事業者の新モビリティ担当者などが参加していた。


当日のプログラムは、シェアモビリティの公共性により焦点を当てたセッションが多かった。「シェアモビリティのEV化」をテーマとするセッションでは、バンクーバー都市域で、EVシェアモビリティが私用のEVよりも優先して充電ポートを使用できる施策を紹介。

また、住宅価格上昇の問題に「シェアモビリティで何ができるのか」をテーマにしたセッションでは、ブレーメン市(ドイツ)やアールスト市(ベルギー)で最近導入した、不動産開発時の駐車場附置義務の低減に活用できるモビリティハブやシェアモビリティに関する政策が紹介された。

ヨーロッパ発の北米開催である本イベントは、1セッションが日本に充てられている。交通やMaaSに関する研究者、アザレル・チャモッロ氏が旗振り役となり、今回の企画が実現。日本からは、未来シェアのアザレル・チャモッロ氏、大日本印刷の上仮屋敏美氏、筆者の3名が参加した。

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チャモッロ氏は、欧州・北米では一般的ではない日本の「沿線開発」の考え方を紹介した。阪急電鉄の創業者である小林一三氏が東宝映画を設立したことなど、阪急が鉄道や住宅開発にとどまらず、百貨店や劇場など「交通+アクティビティ」の事業開発を進めたことを、ゴジラをモチーフに発表した。

他にも、小田急バスのカーフリーの不動産開発、Hoccoや未来シェアのプロジェクトに加え、配達と掛け合わせた日本初の久米南町でのオンデマンド交通や、前橋市のGunMaaS(旧:MaeMaaS)、AIオンデマンド交通研究会など、日本でのMaaSの動きを紹介した。

上仮屋氏は、大日本印刷の各地でDXの取り組みを中心に、モビリティポートで情報提供した結果、マイクロモビリティの利用率が大幅に向上した事例などを紹介。また、診療器具を搭載した車両に看護師が同乗し、病院のない地域を巡る医療MaaSは、出席した市の担当者などから質問が相次ぎ、注目を集めた。


AMANEは、さいたま市の大宮で運営しているモビリティハブについて紹介した。さいたま市と協定のもと、Hello Cycling・Hello Mobilityが運営するシェアモビリティのポートと、マルシェを開催しているコミュニティスペースといった、2つの機能を合わせたモビリティハブを、2022年10月から運営。開始から約1年、概要や相乗効果の他、良い点と悪い点についても紹介した。
また、コミュニティスペースと合わせて運営するモビリティハブ事例が少ないためか、発表後に個別で質問くださる方も複数名いた。

AMANEの発表</br>(提供:アザレル・チャモッロ氏)

AMANEの発表
(提供:アザレル・チャモッロ氏)


当日のイベントで一貫していたのは、集まった人たちの熱気と楽しみぶりだろう。「Shared Mobility?」「Rocks!」というお決まりの掛け合いが、セッションのいたるところで聞こえてくる。イベントの前後で開催されていたネットワーキングのパーティにも多くの参加者が集まり、北米・ヨーロッパでの実情について、積極的に意見交換していた。
次回は、今回のイベントの主催者であるmovemiの代表を務めるSandra Phillips (サンドラ・フィリップス)氏のインタビューを中心に、バンクーバーで開催した経緯やシェアモビリティの現状について紹介する。
文:佐藤 和貴子(株式会社AMANE)

東京大学大学院にて都市デザイン・建築設計の研究を行う。大学院での修士論文を元に「小さい交通が都市を変える」を出版。ロンドンとダブリンの建築設計事務所にて建築設計・都市デザインに従事。香港の設計事務所で北海道・ニセコや東南アジアのプロジェクトに携わったのち、現職。

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