タイヤメーカーもCASE、MaaSへ舵きりーー住友ゴム、走るだけのタイヤからタイヤサービスへ
有料会員限定記事
2019/9/16(月)
CASEやMaaSの浸透による自動車業界の変化は自動車メーカーだけではなく、タイヤメーカーの戦略にも変化をもたらしている。住友ゴム工業(以下、住友ゴム)は5月、群馬大学との共同研究とIoT開発2社との業務提携を立て続けに発表した。群馬大学とは、完全自動運転時代に向けたタイヤサービスを、IoT開発2社とはオープンイノベーションでタイヤ管理ソリューションを展開していくという。住友ゴムの考えるタイヤサービスとは――。
ドライバーレスの時代に備えたタイヤメンテナンス
群馬大学との共同研究は、センサーを使用し、走行時のタイヤ空気圧・温度を監視することで、パンクなどのトラブル発生時のメンテナンスに活用するものだ。タイヤに関する異常を感知すると、群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センター(以下、CRANTS)内に設置された自動運転管制所へ、行動判断に必要な情報が提供されるという。「自動運転レベル4は完全無人の状態なので、タイヤの異常はできるだけ事前に感知するという機能が大切」(住友ゴム 経営企画部 デジタルイノベーション推進グループ 西本尚弘課長代理、以下西本氏)。自動運転レベル4にあたる限定エリア内での完全自動運転において、安全に運行するためのタイヤサービスの構築を目指している。今後はCRANTSでの実証実験を予定しており、研究の成果はインテリジェントタイヤの開発や、タイヤサービスの実装にフィードバックしていくという。IoT開発2社とタイヤ管理ソリューションを展開
IoT開発2社との業務提携は、トライポッドワークス株式会社、SYSGRATION LTD.とタイヤデータを利用したソリューションシステムを構築するという内容だ。トライポッドワークスは自動車向けIoTサービスやクラウドサービスの開発、台湾に本社を置くSYSGRATIONはTPMS、その周辺機器の製造や開発を手がける会社だ。直接式TPMS(Tire Pressure Monitoring System:タイヤ空気圧監視システム)※などのデジタルツールを使い、タイヤの空気圧・温度データを取得。IoTプラットフォームとなるTPMSクラウドでデータを吸い上げ、外部サービスと連携することで、タイヤ空気圧管理ソリューションサービスの展開を行う。
※TPMSには直接式と間接式があり、直接式は主にホイールに取り付けられたセンサーで空気圧や温度を計測し、無線でデータを飛ばす方法。欧米の新車(乗用車)ではTPMSの装着が義務化されている。
メインターゲットは商用車。ドライバーだけではなく、管理する運送会社、車両管理会社にデータを送信し、タイヤ状態の管理までをパッケージで提供するという。