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DeNA タクシー配車アプリ「タクベル」実証実験開始

2017/9/28(木)

右:神奈川県タクシー協会常任理事経営委員長・藤井嘉一郎氏  左:ディー・エヌ・エーオートモーティブ事業本部・江川絢也氏

ディー・エヌ・エーは9月4日、横浜市と神奈川県タクシー協会の協力のもと、AIを活用したタクシー配車アプリ「タクベル」の実証実験を行うことを発表した。実証実験は9月12日から10月31日までの期間、横浜市の限定エリアを対象に行われる予定で、神奈川県内では来年1月以降の実用化を目指している。
実験が行われるは横浜市中区、同西区、「東神奈川」から「長津田」駅までのJR横浜線沿線周辺で、乗務員専用端末を搭載したタクシー200台を用意。1日に100台程度が運行される予定となっている。
 

タクシー事業者の課題解決と利用者の利便性向上を両立

「タクベル」の利用者は、目的地までの予想到着時間を事前に確認したうえで任意の場所にタクシーの配車予約をすることができる。また周辺を走行中である空車のタクシーを、リアルタイムで確認できる機能や、配車手配後に乗務員と利用者が定型メッセージを送受信できる機能、お互いの現在位置を確認できる機能などを実装している。また乗車料の支払いはネット決済も可能である。目的地、利用者の名前、性別なども乗務員に伝わるため、タクシーを予約した利用者が見当たらない、乗車場所がわからない、といったトラブルの防止にもつながる。

「タクベル」の導入は、タクシー業界の持つ危機感が理由の一つとなっている。神奈川県タクシー協会常任理事経営委員長・藤井嘉一郎氏は記者発表会で、タクシー業界が抱える大きな問題として次の二つを挙げた。一つ目が「白タクやライドシェアへの対策」、二つ目が「労働力の確保」だ。

導入のメリットについては「無線配車のたらい回しや『待たされ感』が解消され、利用者の利便性が向上することが挙げられる。タクシー事業者や乗務員は、効率的な営業によりとりこぼしを解消できる」と話し、「利用者にとっても、また事業者・乗務員にとっても使いやすいアプリを導入することで、ライドシェアや乗務員不足、利用者のさらなる利便性向上などさまざまな課題の解決を図れる」と強調した。

乗務員用デバイスはスマホサイズ



乗務員用のアプリ画面


県下統一スマホアプリ構想

前記のように、タクシー業界におけるITの導入は、ライドシェアや白タク対策という観点からも喫緊かつ最大の課題となっている。藤井氏は「地域公共交通の一端を担うタクシーにとって、サービスのさらなる高度化が不可欠」と話し、その成功条件として「統一したシステムかつエリア内での装備車両密度を高めること」を挙げた。大手の事業者が占める東京と異なり、神奈川は中小零細事業者が中心となっている。SuicaやPASMOなどの電子マネー決済への対応も遅れている。藤井氏は最後に、タクベルは既存のシステムの延長、補完ではなく「需要創出」「タクシーITサービスの核」の実現になると強調した。そして県内統一を実現したのちは、いずれ県外にも順次導入を進めていきたいとしている。

 

スマートな乗車体験がタクシー利用者増につながる

一方、ディー・エヌ・エーオートモーティブ事業本部の江川絢也氏は利用者のメリットという視点からタクベルの有用性を述べた。その例として江川氏は「到着時間が正確で、迎車車両もわかりやすい」、「行先を説明したりする必要もなく、乗車体験がスマートになる」といった点を挙げた。「タクシーの位置をアプリで確認し、流しで乗るか配車を依頼するかを選べる。この点だけでも既存のタクシー利用とは大きく異なる」とし、利便性と良質な乗車体験を追求することがタクシー事業者のメリットにもつながるとの認識を示した。

タクベルの導入費用、利用料は成果課金制で、タクベルを通じたタクシー利用があった場合のみ、タクシー事業者に料金が発生する仕組みです。利用者は無料で利用できるため、デメリットはないと考えられる。

利用者アプリは見やすさに配慮



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