東芝、工場自動化に向けた高精度AIを発表 2021年度の実用化へ
2020/12/7(月)
東芝は11月30日、通常の可視光カメラで撮影した画像から、不規則に積み重なった物体の個々の領域※1を高精度に推定するAIを発表した。
物流現場における自動化が進む中、倉庫内の荷物の搬送、荷降ろしやピッキングなどの作業も自動化が進んでいる。コロナ禍においては、倉庫のソーシャルディスタンス確保のための物流ロボット導入がさらに加速すると見られる。※1「物体の領域を認識する」とは、仮に物体が他のものに遮られて部分的にしか見えなくても、形などの特徴から実際にそこにあると認識すること。
一方で、倉庫内での作業を自動化するためには、自動荷降ろしロボットやピッキングロボットが、多種多様な荷物の領域を正しく認識し、的確につかまなければならない。ここで必要になるのは、荷物同士が乱雑かつ大きく重なった上からの画像からでも、個々の荷物の領域を特定する技術だ。
3次元センサーを使えば、重なり合う荷物の領域を高精度に特定できる。だが、3次元センサーにはコストと事前学習に必要な3次元データの収集負担が大きいという課題があった。通常のカメラで撮影した画像を使用すれば安価だが、AIが荷物同士が重なった画像を1つの物体であると誤認してしまう危険性があった。
今回開発した方式は、画像内の画素ごとに物体の特徴を示す「特徴値」を使用する。同じ物体に属する点であれば似た特徴値を、違う物体に属する点であれば異なる特徴値を出力。この特徴値を使うことで、上下に重なる2つの物体においても1つの物体として誤認することなく、それぞれの領域を正しく推定することができる。
これらの技術をベースとしたAIの開発により、荷物同士が大きく重なっているような状況においても、上から撮影した画像から個々の荷物の領域を高精度に推定することができる。東芝は、WISDOMデータセットの公開データを使い、今回の技術の実証実験を行った。この結果、推定精度を従来方式から45%改善する世界トップの性能を達成した。
東芝は、今回のAIを組み込んだ荷降ろしロボットを2021年度に市場投入し、ロジスティクスオートメーションの加速化に貢献すると述べている。
(出典:東芝 Webサイトより)