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横河電機とドコモ、AIを活用した遠隔操作における5Gの有効性確認

2022/6/7(火)

横河電機株式会社(以下、横河電機)と株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、自律制御AIと5Gを活用したリモート制御を行う共同実証実験を行い、遠隔操作における5Gの実用に向けた有効性を確認することに成功した。5月30日付のプレスリリースで明かしている。

近年、広域に分散する設備や遠隔地、あるいは危険場所への対応など、リモート操業の需要は以前より高まり、人々の働き方も大きく変化している。日常生活に欠かせない資源、素材、産業材料などの精製・精錬を行うプロセス産業のプラントは、長年稼働することで、各装置が経年変化を起こす。これらが自律的な調整能力や制御能力をもつことは、極めて大きなメリットが期待できる。

横河電機と奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)は、自律制御AI(アルゴリズム Factorial Kernel Dynamic Policy Programming 以下、FKDPP)を共同開発した。同AIを活用することで、実際の化学プラントで既存の制御技術(PID制御、APC)が適用できず手動制御せざるをえない箇所を、世界で初めて35日間連続で制御することに2022年2月に成功している。FKDPP、5Gおよびクラウドは、産業における自律化を進めるうえで中核技術だ。

今回の実証実験では、横河電機とドコモが2021年4月14日に報道発表した共同実証実験の合意に基づき、クラウドにFKDPPを搭載し、制御を検証するための装置である「三段水槽」を、5Gを介して制御できるかを検証した。目標水位を決めて、低速から高速の制御周期(どのくらいの頻度で制御を実行するか)での実験を行い、通信遅延がFKDPPによる制御に与える影響を調査している。結論として、特に高速の制御において5Gは4Gと比較して(1)通信遅延が小さいこと、(2)目標水位に対しオーバーシュートが小さいこと、(3)0.2秒程度までの制御周期に対応しうることが確認した。これは、5Gがより良い制御を実現し、品質の安定や省エネルギーに寄与することを示している。

なお、両社は、産業において5G活用を促進する5G-ACIA(5G Alliance for Connected Industries and Automation)に加盟しており、プラントにおける5Gの有効利用について今後も検討し、活用を促進していくという。また、さまざまな他社のプラントにおいての実証も視野に、長期間稼働させた際の通信の信頼性や遅延の変化などを確認していくことで、5Gを活用したAI自律制御の実現に取り組むと述べている。

(出典:横河電機 Webサイトより)

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