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社会・産業の変革イネイブラとしてのMaaSへの期待1/2

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2018/12/25(火)

(寄稿:アーサー・ディ・リトル・ジャパン  パートナー:三ツ谷翔太 コンサルタント:岡部亜門 コンサルタント:北朴木祥吾)

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国内のMaaS議論が陥りつつある“視野狭窄”

世界では、欧州を中心とする数多くの都市において、MaaSの実証・実装が進んでいる。それを受けて国内においてもMaaSへの注目度が一気に高まり、各所で議論が勃興している。首相官邸の「未来投資戦略2018」におけるMaaSへの言及、JR東日本における「モビリティ変革コンソーシアム」の実証発表、トヨタ自動車における「my route」の実証発表など、MaaSという文字が紙面を賑わさない日はない。

弊社アーサー・ディ・リトルも経営コンサルティングとしての立場から、国内外にて数々の交通事業者や製造業に対するモビリティ戦略の策定やその実行、および、政府に対する政策立案(交通政策、産業政策)を支援しており、MaaSの産業創出や社会実装に向けて、日々多様なプレイヤとの議論機会を頂いている。

しかしながら、その中で感じ始めていることはMaaS議論における関係各所の“視野狭窄”だ。例えばMaaSを「単なるナビアプリだ/決済連携のアプリだ」と捉えてしまったり、いわゆる「統合レベルの議論」のみに拘泥してしまったり、「カーシェア・ライドシェアなどの自動車の話だ」「自動車のCASEの一環の話だ」と範囲を限定してしまったり、といった例が典型的である。

その結果として、公共交通の議論と自動車の議論の乖離、対価源泉の構想を欠いたゼロサム論への陥り、プラットフォーム同士の過度な縄張り争い、さらにはイノベーションのジレンマなど様々な側面でせっかくの議論が暗礁に乗りあがってしまっている場面が散見される。こうした「モビリティのためのモビリティ(手段のための手段)」の議論へ終始してしまうことによって、ユーザーの視点や地域・都市の視点、社会の視点、新たな付加価値創造の視点などが置き去りにされること、また、モビリティシステムの変革に向けた協業機会の損失が生じてしまうことが、何よりの懸念である。

本来であればMaaSは、社会的/産業的に広い可能性を持ち、モビリティだけではなく幅広い業界にも影響する社会変革のイネイブラであると我々は信じている。そこで、本稿では前後半に分けて、まずはその広い可能性について提言したい。


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