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FOMM 水に浮く超小型モビリティ 途上国のモビリティと雇用創出を目指す

2017/12/27(水)

左から、代表取締役CEO・鶴巻日出夫氏、開発部副部長・森田隆之氏、経営管理部経営管理課係長・佐藤俊氏

FOMMは、トヨタ車体で1人乗り超小型EV「COMS」の開発に携わっていた鶴巻日出夫氏が2013年に立ち上げた企業。コンパクトなボディながら4人乗り、そして緊急時には水に浮くといった独創的な超小型EV「FOMM Concept One」の開発を行っている。FOMMという名前はFirst One Mile Mobilityの略であり、その名前の通り自宅から買い物に行くなど、近距離移動を目的とした車両であり、主にタイでの展開を考えているという。
このユニークな車両についての特徴や今後のビジネスモデルについて伺った。

──かなり画期的なモビリティだと思いますが、特徴を教えてください。

まずは、4人乗りであるということです。そして、これを実現しているのがインホイールモーターであるということです。従来のクルマは1つのモーターを中央付近にレイアウトして、シャフトをつなぐという形をとっていましたが、インホイールモーターにすることでその場所が空き、大きくスペースをとることができます。これにより4人乗りを実現し、超小型モビリティでは珍しくクーラーを設置することが可能になっています。
また、アクセルを足で操作するのではなく、ハンドル近くの手元に置く「ステアリングアクセル」であることも特徴です。ブレーキは従来通り足元にありますが、これによりドライバーがブレーキとアクセルを踏み間違えることを防ぎます。
そして、水に浮くということも大きな特徴の1つです。

サイズ:全長×全幅×全高 2585×1295×1560(mm) 乗車定員:4名 駆動:前輪駆動
最大出力:10kW 最大トルク:560Nm 車両重量:445kg (走行用バッテリー除く)


──水に浮くというのは驚きですが、どのような仕組みになっているのですか?

普通のクルマでも全く浮かないというわけではありませんが、いろいろな穴があるため浸水し、最終的に沈んでしまいます。一方FOMMの車両は、ボートのような構造になっています。バスタブの下にシャーシなどの足回りがついているようなイメージです。もちろん、車体には乗降のために開口部がありますが、ドアを閉めると水が入らないようにしています。ただし、水陸両用ではないので、完全防水でずっと水に浮いていられるわけではありません。24時間は浮けたら良いなという発想をしています。あくまで災害時に沈まないことを想定しています。
また、約2km/hほどの速度ですが、水の中でも進むことが可能です。歩くぐらいの速度ですが、旋回は速くできます。タイヤのホイール形状が左右非対称の独自の形状をしており、またタイヤの後ろ側に導水板というものがついています。これらにより整流し推進力を得ています。ハンドル操作により左右に旋回することができます。

──多様な機能を搭載している車両ですが、バッテリーのシステムはどのようなものなのですか?

バッテリーは、カセット式のものを4つ搭載しています。この4つのバッテリーを全て使って走行する仕組みとなっており、1回の充電で最大160km走ることができます。これを交換できるのが特徴となっています。「バッテリクラウド」と呼んでいますが、バッテリー交換ステーションで充電が少なくなったバッテリーを取り換えて使用できます。また、家庭用の電源から直接充電することも可能です。近距離移動の目的であれば家庭での充電で十分走ることができ、逆に長距離移動の目的であればバッテリーステーションで交換しながら走るということが考えられます。
タイではバンチャック・ペトロ社という石油精製会社と提供し、同社が経営しているガソリンスタンドにバッテリー交換ステーションを設置してもらうことを考えています。車両の販売開始時で53カ所、そこから1年後には200カ所まで増やす計画を立てています。

FOMM Concept Oneに使われている独自のホイール。ファンのような形状をしており、裏側に取り付けられた導水板と共に水をかき出し、推進力を生む。


樹脂一体成形によるバスタブ状のボート。水の浸入を防ぎ、緊急時に水面に浮上することができる。(FOMM社提供資料より引用)


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