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FOMM 水に浮く超小型モビリティ 途上国のモビリティと雇用創出を目指す

2017/12/27(水)

鶴巻氏に聞く、FOMM設立の背景と今後の展望

──FOMMを開発しようとしたきっかけを教えてください。

起業のきっかけは、水に浮く電気自動車を世の中に出したいと思ったことです。2011年3月11日に起こった東日本大震災では、クルマで避難しようとして渋滞になり、津波に巻き込まれて亡くなった方が大勢いらっしゃいます。クルマで避難しないほうが良いという議論もありましたが、足が不自由な方など、全ての人が走って避難できるわけではありません。そういった方の命を救う可能性があるのではないかと考え、水に浮く電気自動車を世の中に出したいと思ったのが始まりです。
また、環境の負荷低減も開発のコンセプトとしてあります。もちろん電気自動車ということもありますが、電気自動車だから環境に良いというわけではなく、できるだけ小さく軽い車両で、製造するときからエネルギーを使わないクルマの方がトータルで環境に良くなります。これがLCA(Life Cycle Assessment)です。原材料を投入し、製造し、完成車になり、走行し、廃車になるまでの全ての過程でエネルギーを削減したい。だから小さい電気自動車にこだわっています。

──タイで展開しようと考えたのはなぜですか?

東日本大震災をきっかけに開発をスタートしたので、最初は日本で使うことを考えていました。しかし、日本では軽自動車があり4人乗りのモビリティの市場がなかなか見えてきませんでした。地球環境を改善しようと考えるならば数を売る必要があります。そして、CO2削減など環境負荷低減を先進国で行うのはもはや当たり前のことなので、これを今後クルマが増えてくる途上国を中心に進めることが最も重要だと思います。そこで東南アジアへ進出しようと考えました。当初は人口が2億4000万人と東南アジアで最も多いインドネシアをターゲットにしていました。しかし現地でアンケートをとっている中で、インドネシアで作ったものはタイの人は買わないと言われたんです。東南アジア全域で売りたいと考えていたので、タイへ進出しました。
また、タイは自動車部品メーカーが多いことも理由の1つです。日本で開発した技術をもって、タイの工場で生産する環境を現地の人の手で作り上げてほしいという思いがあります。これにより海外の人たちの雇用や収入に貢献することが目指すゴールだと思っています。

──今後の展望を教えてください。

現在、タイでの販売に向けた準備段階にあり、来年の9月ごろから販売を開始しようとしています。基本的にはシティーカーとしての利用を想定しており、ターゲットユーザーは主婦です。買い物など近くへ行く目的での利用が多いと考えています。また、新しいモビリティという点で、ミレニアル世代など若い人たちに乗ってもらいたいと思っています。
その後の展開としては、L7e規格を採用している全てがマーケットだと考えており、東南アジアや欧州へとマーケットを広げていきたいと考えています。

FOMM Concept One Phase Ⅰ。丸みを帯びたシルエットで、水を表現したデザインが随所に施されている。



FOMM Concept One Phase Ⅱ



FOMM Concept One Phase Ⅳ

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