「AI時代の到来」に GPUテクノロジーはどう挑む? GTC Japan 2017レポート
2017/12/13(水)
各企業、機関で必要とされる技術
そのほかの講演でもそうしたテーマを示唆する点が数多く見られた。豊田工業大学の三田誠一名誉教授の「自動運転・運転支援におけるセンシング技術について」と題した講演において、「ラストワンマイルの交通は、0.9マイルが準天頂衛星、白線検出や地図情報、そしてKalman Filter(複数の誤差のある観測値を合成して正確な情報を得るもの)の統合で走行可能であるが、残り0.1マイルは、電波遮蔽物に囲まれた狭路や日によって状況が変わってもフレキシブルに対応できる深層学習やステレオビジョンシステムなどの活用が必要」と述べた。他方、株式会社本田技術研究所の安井裕司主任研究員は「AIを用いたHondaの自動運転への挑戦」と題した講演で、自動運転においても運転の楽しさ、Hondaらしいハンドリングなどの部分は残しつつも「2020年に高速道路でレベル3の自動運転、2025年にはパーソナルカーでレベル4の実現を目標とし、深層ニューラルネットワークとモデルベース制御、この2つをハイブリッドで組み合わせて」技術を高めていくと語っている。
講演内容は違えど、両者に共通しているのは複雑なデータを処理・統合していく必要があるという点であり、現在、あるいは今後の自動運転社会のソフトウェアについて考えたときに避けては通れない問題であるというのは推し量ることができた。
GTC Japanで自動運転車の展示
屋外では株式会社ティアフォーが開発を進めている「Milee」と呼ばれる電気自動車の展示があった。OEMが取り組む運転支援技術の延長にある自動運転技術とは立ち位置が異なり、ハンドルやアクセルが無い、初めから完全自動運転を前提としたモビリティである点が特徴だ。最高速度は20km/hで、長距離移動ではなく、ラストワンマイルの移動補完を目的としている。会場には4,000人を超える来場者があり、立ち見どころかホールにさえ入れない講演も多数あったほどの盛況を見せ、GTC Japan 2017は幕を閉じた。