「磁気マーカー」で空港制限区域内での自動運転課題を解決 ANA、SBドライブなど6社
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2019/4/1(月)
全日本空輸(ANA)やソフトバンクグループ傘下のSBドライブなど6社は1月22日、羽田空港の制限区域内で実施中の自動運転バスの実証実験を報道陣向けに公開した。空港制限区域内における乗客・乗員などの輸送を想定した自動走行(自動運転レベル3)での実験は国内初。自動走行に向けた課題を洗い出し、東京五輪・パラリンピックの開催で利用者増が見込まれる2020年以降の実用化を目指す。
目標は2020年までに国内空港で自動走行の実現
ANAとSBドライブはこれまで2018年2月に羽田空港新整備場地区で自動運転バスの実証実験を行うなど、車両走行制御技術や遠隔運行管理システムの検証に取り組んできた。今回の実証実験は、実用化に向けた次のステップとして、この2社に愛知製鋼、先進モビリティ、NIPPO、NECが加わった計6社が連携。国土交通省が全国4つの空港(羽田、成田、中部、仙台)で実施する、乗客・乗員などの輸送を想定した自動走行(レベル3)実証実験の一環として実施した。実験公開に際して22日、国交省、ANA、SBドライブそれぞれの代表者による会見が行われた。初めに、国交省 航空局 航空ネットワーク部 空港技術課 空港施設企画調整官の長谷川はる香氏が、インバウンド増大をはじめとする航空需要拡大や生産年齢人口の減少に伴う人手不足等の航空輸送業界が抱える課題を挙げ、その課題に対し、「自動化やロボット、バイオメトリクス、AI、IoT、ビッグデータなどの先端技術やシステムを活用して、航空業界のイノベーションを推進していきたい」と国交省航空局の方針を語った。今後は「2018年度内に結果をとりまとめて、有識者委員会で空港内の自動走行実現に向けた課題を抽出し、2020年までに国内空港のどこかで自動走行を実現させたい」と目標を示した。
次いで、ANA空港センター業務推進部 企画チーム リーダーの山口忠克氏は「さまざまなイノベーション推進を通じて、人と技術の融合や役割分担、シンプル&スマートな空港オペレーションを実現したい。これはお客さまに対するサービス面と空港業務従事者の働き方の側面の両面がある」と今回の目標を説明。現在、人による労働集約型業務が多い部分への新技術導入を検討しているという。例として、PBB(旅客搭乗橋)作業の簡易化、荷物のコンテナへ積載する業務の効率化、重い荷物を運搬する作業の負荷軽減、飛行機の牽引作業の効率化や省人化を目指したいと語った。また、人や自転車などの飛び出しがなく、制限速度が30km/hで比較的低速という空港制限区域内の特殊性について「自動走行車両と有人車両がどのように融合し、社会実装するのかを試すのに最適なフィールド」と表現。今後も積極的に情報発信し、「2020年以降オリンピックもあるので、なるべく早期に空港における自動運転バスの実現をANAグループとして目指したい」と意欲を示した。
最後に、SBドライブ 企画部 部長 坂元政隆氏は「これは単発の実験ではない。2020年以降、実際に羽田空港の内外で自動運転車両を走らせる目標を掲げている」と今回の実証実験の趣旨に改めて触れた。
「空港ならでは」の課題をクリア「磁気マーカーシステム」を用いた車両位置制御
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