「AIで路面判別」スペクティ・日本気象協会ら、新潟県長岡市で実証実験
2021/2/16(火)
AI等の最先端のテクノロジーを活用して、防災や危機管理に関連した技術開発を行う株式会社Spectee(以下、スペクティ)、一般財団法人 日本気象協会(以下、日本気象協会)、有線テレビジョン放送事業・電気通信事業を主な事業とする株式会社エヌ・シィ・ティ(以下、NCT)は今月、道路に設置されたNCTのカメラの映像をもとに、AIで道路の路面状態と階級別視程※1をリアルタイムに判別する実証実験を、新潟県長岡市で行う。
新潟県では、毎年のように雪による交通事故や交通渋滞などの道路雪害に見舞われている。最近でも昨年末から続く豪雪の影響で交通障害が発生し、交通機関に大きな影響を与えた。※1 階級別視程: 気象用語で大気の混濁の度合いを示し、水平方向における見通せる距離のことを「視程」といい、見通せる距離を50m未満、100m未満、200m未満、300m未満、300m以上と分けた視程を「階級別視程」という。降雪や吹雪によって視程は悪化し、前が全く見えないと感じる「ホワイトアウト」が発生することもあり、大きな事故へとつながる恐れがある。道路上の視程を知ることで、安全・安心な道路交通の確保に貢献する。
スペクティと日本気象協会は2019年からカメラ映像に着目し、最新のAI技術を駆使した冬季の各種防災情報の取得とリアルタイム提供サービスの開発を共同で実施している。
この技術をもとに、スペクティと日本気象協会が共同開発したAIによる道路の「路面状態判別技術」と「視程判別技術」を、新潟県内でNCTが保有する道路情報カメラに応用し、AI技術の利活用検討と精度検証を目的とした実証実験を行う。
これまで、道路の路面状態等については計測機器が設置されている地点の情報しか得られていなかったが、広範囲に設置されたカメラの画像を用いてAIで判定することで、降雪や吹雪による視程や路面状態の面的な分布が得られ、より網羅的な実況把握が可能になる。
スペクティと日本気象協会は、この実証実験により詳細な路面状態をAIでリアルタイムに把握することを可能にし、新潟県のみならず全国に展開して道路管理者や自治体など、道路の安全や防災に関わる事業者での適切な安全管理、将来的な自動運転技術の推進に役立てられることを目指している。
■ Spectee代表取締役 村上建治郎氏のコメント 「冬場の降雪や凍結、夏場の冠水時などの道路状態の判定は定点に設置された計測器による観測だけでは限界がありました。また近年の激しい気象変化には、よりリアルタイムなデータをもとに迅速な初動対応が必要になっており、今回のカメラを使ったAIによる路面状態の自動判定は、道路の安全管理に必要な網羅的なデータを取得するのに役立つとともに、自動運転などのMaaS技術への応用が期待されます。」
■ 日本気象協会常務理事 事業本部長 辻本浩史氏のコメント 「冬期における道路上の積雪や凍結、吹雪視程の情報は、道路の安全通行や道路管理において重要な情報です。今回の実証実験では、日本気象協会とスペクティが共同開発したAIによる路面状態判別技術と視程判別技術を積雪寒冷地における雪害の減災や交通障害の予防、また路面凍結やホワイトアウトへの注意喚起情報に役立てたいと思います。」
■ NCT代表取締役 今泉道雄氏のコメント 「NCTは、現在、サービスエリア内51ヶ所に道路情報カメラを設置し、コミュニティチャンネル(123ch:道路情報チャンネル)及びスマートフォンアプリ(NCTコネクト)を通じ、地域の皆様に道路情報を提供しております。特に冬季の道路情報については、サービスエリア内に長岡市や小千谷市などの特別豪雪地帯が含まれていることから、日常生活に不可欠なライフライン情報として多くの皆様にご利用いただいているところです。」
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