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台湾版MaaSは日本のモデルケースとなるか?(2/2):高雄市のMaaSについて

2019/1/21(月)

福岡から飛行機で約2時間半、東京から約4時間の距離にある台湾。過去に日本が作った建物やインフラなどの基盤が残り、都市交通の面でも日本と類似点が多い。昨今は観光スポットとして注目されているが、交通関係においてもオープンデータの推進などでICT活用が日本よりも進んでいる部分があり、公共交通の関係者の間で注目が徐々に高まっている。欧米事例は日本国内と環境が大きくかけ離れているため、日本にそのまま持ち込むことは難しい。しかし、台湾の事例は日本に条件が近いため参考にできる点が多いのではないだろうか。台湾では日本に先駆けてMaaSの検討が2017年から行われおり、すでにサービスが開始している。
(モビリティジャーナリスト 楠田悦子)

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台湾のMaaSアプリは、大都市の台北・高雄から

北部に位置する台北のMaaSアプリは「UMAJ遊.買.集(ユマジ)」と名付けられ、台湾交通通信省MOTC(Ministry of Transportation and Communications, Taiwan)と台湾通信大手の中華電信(CHT)が共同で開発・運営している。サービス提供エリアは台北市、新北市(ニュー台北)、宜蘭(イーラン)など北部の都市圏だ。また、南部最大の都市である高雄市でもMaaSアプリ「Men-GO」の導入が進んでいる。そこで、台湾の交通通信省・交通部科技顧問室科長の劉建邦(Chien-Pang Liu 以下、劉氏)、高雄市政府交通局副局長の張淑娟(ShuChuan,Chang 以下、張氏)の両氏に、MaaSへ向けた取り組みについて話を伺った。本稿では、高雄市の取り組みを紹介する。

高雄市政府交通局副局長の張淑娟(ShuChuan,Chang)氏



台湾南部に位置する高雄市(たかおし:Kaohsiung)は重工業で栄える台湾第3の都市で、面積は約2951㎢。人口は中心部が150万人、合併した周辺部も合わせると約277万人に達する(参考:2015年の大阪市の人口は約269万人)。
高雄市の市内の移動手段には、鉄道、地下鉄、バス、LRT、自転車シェア、タクシーなどがあり、市内の公共交通の料金システムにゾーン制を用いる欧州の都市と異なり、台湾では日本のように、改札があり乗降時にiPass(アイパス:easyカードと同様、台湾の交通系ICカード)で決済を行っている。

――高雄市が抱える、都市の課題を教えてください。

張氏: 高雄市の考え方や政策は、保有するクルマを中心としたアメリカ的な政策でした。おそらく現在の日本もそれに近いのではないでしょうか。約20年以上前に、クルマ中心の交通政策から、欧州のようなヒューマンセンタード(人間中心)な交通政策に方向転換しました。クルマ中心の交通政策から転換した理由は、交通事故の増加、交通渋滞、環境問題が深刻になってきたからです。
高雄の公共交通の分担率は10%に留まります。バイクの交通分担率が非常に高い状況で、特に若者の交通事故が深刻な問題になっています。2011年には251人が交通事故で亡くなり、そのうち80%以上はバイクによる事故です。
それに加えて交通渋滞や大気汚染も課題で、健康に影響を及ぼすほど深刻です。公共交通の料金を無料にして、高雄市民に公共交通を使うように促すため、環境基金からの補助金を投入して、大規模な社会実験を2017年12月から翌年2月までの3か月間実施しました。その期間中、朝と夕方の混み合うピーク時間に、iPassで乗車する市民は、バス、LRT、MRTに無料で乗車できるようにしました。この政策を実施した結果(2018年2月時点)、バスの利用者は20%、MRTの利用者は31%増えました。

――高雄市のMaaSの定義や推進の目標を教えてください

張氏: 高雄市が考えるMaaSは、利用者に多様な交通手段を組み合わせたルート、料金、決済、最適化された情報を携帯端末アプリで統合させた交通サービスで、インテグレーションプラットフォームだと考えています。
MaaSで、公共交通やシェアサービスなどを統合させ、バイクやクルマなどを所有することと同等のdoor to doorサービスを提供し、市民がバイクやクルマから公共交通へ転換することを目指しています。MaaSは新しいサービスを創造し、公共交通の間にできる不便さを補完してくれると期待しています。高雄市のMaaSのKPIは、公共交通の利用を増やし、交通事故を減少させることを目標に掲げています。
2017年からMaaSについて検討を始めました。高雄市でMaaSの実装するにあたり、逢甲大学(Feng Chia University)からのコンサルタントを招き、関係者たちとミーティングを重ねました。他国の情報を参考にしただけでは不十分でしたが、この集中的なミーティングで高雄市のMaaSの具体化につながりました。
2018年8月から実証実験を100人に対して実施し、同年10月12日に正式にサービスをスタートさせました。

高雄市のMaaSアプリ「Men-GO(メンゴー)」

――サービスの概要について教えてください。

張氏: 新しいMaaSアプリ「Men-GO(メンゴー)」とiPassを使ったスマートチケットでサービスを利用することが可能です。iPassを使ったスマートチケットは本人しか使えないように、裏面に写真を印字しています。iPassは地下鉄の駅で現金で購入することもでき、MaaSアプリではオンライン決済も可能です。
MaaSアプリの名前は当初は台湾でも人気の果物「マンゴー」と「人」をかけて「Man-GO」にしようと思っていたのですが、すでに商標登録をしている企業があり「Men-GO」になりました。

――料金プランはどのようなものでしょうか?


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